入浴を断る決まり

公衆浴場と衛生

断る根拠は、法と施設の二つに分かれます。公衆浴場法が営業者に義務づけている拒否と、施設が自分の判断で掲げた条件は、同じ紙に並んでいても出どころが違います。

何を定めた決まりか

公衆浴場法第4条が、営業者に対して「伝染性の疾病にかかつている者と認められる者」の入浴を拒むことを義務として定めています。療養のために利用される公衆浴場で知事の許可を受けたものは、この義務から外れます。第5条は入浴者の側へ向いた条文で、浴槽の中を著しく不潔にする行為を禁じ、営業者にその制止を義務づけます。かけ湯や洗い場と浴槽の使い分けという作法の根は、この一条にあります。

現地のどこに現れるか

入口と脱衣所に貼られた「ご利用について」の紙が、この二条の受け皿です。感染症、泥酔、おむつの取れない子ども、入れ墨、タオルの持ち込みといった条件が一枚に並び、飲酒と入浴の注意もそこへ書き足されます。表題は一つでも、行ごとに出どころが違うのがこの掲示の作りで、条文の言いまわしが残っている行と、施設の言葉で書かれた行が混じり、券売機の上と脱衣所とで並びが違うこともあります。

利用者から見える意味

一枚の掲示の中で、法が営業者に課した行為と施設が自分で決めた条件が混じっています。前者は営業者に選ぶ余地がなく、浴場業の許可を受けて営む以上、断らなければ法の側の問題になります。後者は施設の判断なので、同じ町の二軒で条件が違うことが起こります。断られた理由がどちらから来たのかは、掲示の文の形からある程度たどれます。第4条の側は、営業者が断らないこと自体を罰の対象にしている点で重さが違います。

勘違いしやすいところ

入れ墨についての掲示に、法律の裏づけはありません。公衆浴場法にその文字はなく、掲げるかどうかは施設の判断です。厚生労働省と観光庁は平成28年3月の事務連絡で、「入れ墨をしていることのみをもって、入浴を拒否することは適切ではございません」と業界へ周知しました。同じ紙に並ぶ混浴の年齢の目安が条例に根を持つ行であるのとは、出どころが違います。