レジオネラ対策の指針
公衆浴場と衛生
狙いは、浴槽の湯ではなく配管の内側です。厚生労働省告示第264号の技術上の指針は、ろ過器や配管に育つ生物膜を落とすために、換水と逆洗浄の回数、塩素の濃さを数値で並べています。
何を定めた決まりか
厚生労働省告示第264号「レジオネラ症を予防するために必要な措置に関する技術上の指針」(平成15年、平成30年一部改正)が、浴槽と配管の維持管理を定めたものです。浴槽の換水は毎日完全に行うことが原則で、難しい場合でも1週間に1回以上の換水を求めます。循環式浴槽のろ過器は1週間に1回以上の逆洗浄で内部の生物膜を排出し、遊離残留塩素は通常0.4mg/L程度を保って最大1mg/Lを超えないよう努めるとされます。
現地のどこに現れるか
この指針は掲示の文言ではなく、浴室の作りと手入れの側に出ます。循環している浴槽水を打たせ湯やシャワーに用いないこと、貯湯槽の湯を60度以上に保つこと、気泡発生装置の空気取入口を汚れた水がかからない位置に設けることが並びます。消毒の設備も浴槽水の通る経路に組まれ、入浴者の目に入るのは、湯口から離れた場所に置かれた取入口や、浴槽の縁の吸込口の作りくらいです。
利用者から見える意味
湯の入れ替えと消毒が、施設ごとの心がけではなく数値の決まりだという意味になります。温泉の利用状況の表示で「消毒あり」と読める一語の後ろには、この換水と逆洗浄の回数が置かれています。入浴者が確かめられるのは掲示までで、逆洗浄の記録や検査の結果は保健所へ向いた書類の側にあります。打たせ湯やシャワーから出る湯が浴槽の湯ではないことも、この指針が入浴者の側へ及ぼしている点です。水そのものに引かれた線は浴槽水の水質基準が受け持ちます。
勘違いしやすいところ
消毒のにおいの強さは、湯の値打ちとは別の話です。においは塩素の使い方や湯気抜きと換気で変わり、指針が落とそうとしている相手はそこにいません。狙いは配管とろ過器の内側に育つ生物膜で、湯そのものよりも、湯が通ってきた経路の掃除を数値で縛る作りになっています。循環しているかどうかは温泉の利用状況の表示で読み取れますが、指針が縛るのは手入れの回数のほうです。浴槽の見た目からは判断がつかない場所に置かれた決まりです。