国民保養温泉地

お金と地域

国民保養温泉地は、格付けではありません。温泉法第29条にもとづき環境大臣が指定する地域で、温泉利用施設の整備と環境の改善に必要な場所という位置づけです。

何を定めた決まりか

温泉法第29条の「地域の指定」にもとづき、環境大臣が温泉利用施設の整備と環境の改善に必要な地域を指定する制度です。昭和29年に始まり、環境省によれば令和4年10月現在で全国79か所が指定されています。条件は二つに分かれ、療養泉であることと湧出量が豊富であることという泉質と湧出量の条件は、温泉法上の温泉の線よりも狭く引かれています。もう一つが、温泉地の環境についての条件です。

現地のどこに現れるか

温泉地の入口や共同浴場のわきに立つ看板に、その名が出ます。施設ではなく地域に付く指定なので、掲げられるのは一軒の玄関ではなく、その温泉地全体を指す場所です。案内所の掲示や市町村の広報にも載り、環境省のページには指定地の一覧と指定の年が並び、指定を受けた年から数十年が経つ地域もあります。温泉の成分等の掲示のように、施設の壁へ貼られる種類の紙ではありません。

利用者から見える意味

指定された地域は、湯を使う施設と周りの環境を含めて整えられる対象になります。環境省が挙げる温泉地の環境の条件には、保養地として適した自然環境、医師の配置または指導できる人材の計画、資源の保護と衛生管理の取組、災害防止の取組が並びます。湧出量の目安は温泉利用者一人あたり毎分0.5リットル以上で、分析書の湧出量の欄がその物差しになります。

勘違いしやすいところ

格付けの一覧として読むと、話がずれます。指定は地域の整備と環境のために置かれたもので、湯の優劣を並べたものではなく、指定されていない温泉地の湯が劣るという意味にもなりません。療養泉であることは条件の一つにすぎず、分析書の判定の欄で確かめられる線と、温泉地の側の取組とが、同じだけ問われます。指定を受けていない土地にも療養泉はあり、湧出量の目安を満たす源泉もあります。