硫黄のにおいがすれば硫黄泉?
泉質と成分の誤解
においの強さでは泉質名は決まりません。硫黄泉と付くかどうかは総硫黄の量で決まり、においの主役である遊離硫化水素は、その一部を占める成分にすぎません。
よく言われること
浴室に入った時点であの卵のようなにおいがすれば硫黄泉、しなければ違う、という当て方です。硫化水素臭は薄くても鼻につくので、掲示を読む前に鼻のほうで泉質が決まってしまい、においの弱い硫黄泉ではうすい湯を引いていると受け取られます。においの強さが、そのまま紙に書かれた成分の量として語られています。
実際はどうか
泉質名を決めるのは限界値です。療養泉の分類では、総硫黄が2mg/kg以上で硫黄泉になります(環境省 2014、指針 第1-3表)。総硫黄は遊離硫化水素・硫化水素イオン・チオ硫酸イオンをまとめて数えた量で、においの主は遊離硫化水素です。指針1-3(3)1)(e)は、遊離硫化水素のモル濃度が硫化水素イオンとチオ硫酸イオンの和より大きいとき、泉質名に硫化水素型と付記すると定めています。
なぜ広まったか
においは掲示より先に届く手がかりだからです。浴室の戸を開けた瞬間に分かるので、紙を読むより早く判断が済みます。硫黄という字が泉質名とにおいの呼び名の両方に入っていることも重なります。実際には、同じ総硫黄でも液性がアルカリ性の側に寄ればイオンの形に偏り、においが立ちにくくなるため、鼻に届く量と紙に書かれた量は一致しません。
どう言えば正しいか
においがしたから硫黄泉、ではなく、掲示の泉質名に硫黄泉と書いてあるかで決まる、という順に置き直します。分析書では成分の欄で総硫黄の数字を見て、判定の欄に並ぶ泉質名の後ろに硫化水素型という付記があるかまで確かめると、においの立ちやすい源泉かどうかも読めます。においそのものは硫化水素臭の項目に置き、泉質名の判定とは分けて扱います。