炭酸泉と炭酸水素塩泉は同じ?

泉質と成分の誤解

名前は似ていますが、決め手になる成分も見る欄も違う泉質です。二酸化炭素泉は遊離ガスの量で決まり、炭酸水素塩泉は溶けているイオンの主成分で決まります。

よく言われること

「炭酸」の字が重なるので、炭酸泉と炭酸水素塩泉が同じ湯の言い換えだと読まれます。人工の炭酸浴や炭酸飲料の泡が思い浮かぶため、炭酸水素塩泉と掲示された浴槽でも肌に泡が付くはずだと期待され、付かなければ表示のほうが違うのではないかと受け取られます。案内文で炭酸泉と短く書かれると、どちらの話かが消えます。

実際はどうか

決め手が別です。二酸化炭素泉は、遊離二酸化炭素が1000mg/kg以上という特殊成分の限界値で付く名前です(環境省 2014、指針 第1-3表)。炭酸水素塩泉のほうは、溶存物質が1000mg/kg以上の塩類泉のうち陰イオンの主成分が炭酸水素イオンのものを指します(同1-3(1)2))。遊離ガスか、溶けているイオンかで、読む欄から分かれます。

なぜ広まったか

旧泉質名が残っていることが大きいところです。環境省の新旧泉質名対照表では、今の二酸化炭素泉が「単純炭酸泉」、炭酸水素塩泉が「重曹泉」に当たります。昔は炭酸の字を持っていたのが前者で、今それを持つのは後者という入れ替わりが起きているため、呼び名がどちらを指すかは、話し手が覚えた時期で変わってしまいます。分析書に旧泉質名の併記がある源泉では、新旧の名前が同じ紙に並びます。

どう言えば正しいか

掲示に書かれた泉質名のとおりに呼び分けます。分析書では、遊離二酸化炭素は溶けているイオンとは別に扱われ、溶存物質計には入らず成分総計の側で足されます。炭酸水素イオンの量は陰イオンの表にミリバルで並ぶので、そもそも読む欄が違います。炭酸泉という短い呼び名は、どちらの泉質名の略かを断ってから使うことになります。