ぬるつく湯はアルカリ性?

泉質と成分の誤解

肌ざわりの欄は、掲示にも分析書にもありません。液性の区分は湧出時のpH値だけで決まるので、ぬるつきから液性を読み取る手がかりは、紙の上には置かれていません。

よく言われること

入った瞬間に肌がぬるつけばアルカリ性の湯、きしむ肌ざわりなら酸性の湯、という当て方です。ぬるすべという言い方は案内の文章でも使われ、肌ざわりが液性の言い換えとして扱われます。掲示を読まなくても湯の性格が分かる手軽さがあるので、浴槽に入った時点でpHの数字まで見当がついたつもりになり、掲示の前を素通りすることになります。

実際はどうか

液性の区分は湧出時のpH値で決まります。指針1-2(2)は、pH3未満を酸性、3以上6未満を弱酸性、6以上7.5未満を中性、7.5以上8.5未満を弱アルカリ性、8.5以上をアルカリ性と刻んでいます(環境省 2014)。区分の根拠はこの数字だけで、肌ざわりを書く欄は掲示にも分析書にもありません。ぬるつきは炭酸水素塩泉など、液性の違う湯でも言われます。

なぜ広まったか

体感はその場で誰の手にも届くのに、pHはpH値の欄を探さないと分からないという差があります。アルカリ性の湯はぬるすべ、という短い言い方は覚えやすく、案内の文章にも入り込みます。肌ざわりと成分を結ぶ説明は、確かめられている範囲がまだ狭いので、この本では肯定も否定もせず、分かっているところで止めます。

どう言えば正しいか

pHは掲示に出る数字、ぬるつきは体感と、二つに分けて言います。液性を知るなら分析書のpHの欄と、アルカリ性などの併記を読みます。肌ざわりのほうはぬるぬる感の項目で、どこまで分かっているかを含めて扱います。ぬるついた湯がアルカリ性であることも、そうでないこともあるという並べ方が、いまの紙の書き方に合っています。