単純温泉は成分がうすい湯?
泉質と成分の誤解
うすいのではなく、名前を決める主成分が規定量に届かないだけです。泉温25℃以上という条件のほうで療養泉に入っている湯なので、成分が無いという意味にはなりません。
よく言われること
単純温泉という名前から、成分がほとんど入っていない湯だと受け取られます。掲示の泉質欄に成分の名前がひとつも並ばないため、塩化物泉や硫黄泉のように名乗る成分を持つ湯と比べて中身が乏しい湯だと読まれ、「ただのお湯」という呼び方も出てきます。うすいか濃いかが、そのまま湯の値打ちの話として語られ、掲示を読む前に順番が付いてしまうところです。
実際はどうか
療養泉の分類でいう単純温泉は、溶存物質(ガス性のものを除く)が1000mg/kgに満たず、泉温が25℃以上のものを指します(環境省 2014、指針1-3(2))。成分が無いのではなく、泉質名に立てられる主成分が規定量に届かないという意味で、温度のほうの条件で療養泉に入っています。同じ節には、湧出地でのpH測定値が8.5以上で液性がアルカリ性に当たる源泉では、名前そのものがアルカリ性単純温泉に変わる決まりも並びます。
なぜ広まったか
名前の作りが誤解のもとになっています。ほかの泉質名が含まれる成分をそのまま名乗るのに対して、この名前だけは名前に立てられる主成分が無いという分類上の事情のほうを指しています。旧泉質名の「単純泉」も同じ言い方で、環境省の新旧泉質名対照表を経て今の名前に置き換わりました。温泉の成分等の掲示に出るのは名前で、量の数字は分析書の側にあるため、数字を見ないまま名前だけが伝わります。
どう言えば正しいか
泉質名を決める主成分が規定量に届かない湯と言い換えると、分類の話に戻ります。掲示の泉質欄と溶存物質計の数字を並べ、1000mg/kgに届いていないところを確かめれば、名前の根拠まで追えます。pHが8.5以上ならアルカリ性単純温泉と書かれ、泉温の区分は浸透圧・液性・泉温の併記の欄に別に並びます。濃さの多い少ないは、そこでは優劣の話になりません。