動力揚湯
湧かせ方と地上の見え方
自分の力では地表に届かない湯を、機械で引き上げます。ポンプで押し上げるか井戸に空気を送り込むかの二通りがあり、汲み上げのあいだに湯の状態が変わります。
どうして湯が湧くか
地下水面が地表より低いところにある湯は、圧力だけでは地上まで上がってきません。そこへポンプを下ろして押し上げるか、井戸のなかに空気を送り込んで汲み上げるのがこの方式です。自然湧出や掘削自噴と湯の出どころは変わらず、足りない分の力を機械が足しているという関係になります。日本温泉協会は、掘った井戸から動力で汲む形をまとめて「掘削・動力揚湯」と呼び、分析書にもその語がそのまま並びます。
地下で何が起きているか
汲み上げ方は大きく二つあります。ひとつは水中ポンプを湯のなかまで沈めて押し上げる形、もうひとつは井戸に圧縮空気を吹き込み、気泡が混じって軽くなった湯を浮かせるエアリフトです。どちらの場合も、湯は管を上がるあいだに圧力が下がり、地上に届くまでに温度も下がります。深いところで水に溶けていた気体は、この圧力の低下につれて気体に戻っていきます。
出てくる湯の成分の傾向
先に抜けていくのは二酸化炭素です。ガスが逃げた分だけ炭酸カルシウムは水に溶けていられなくなり、揚湯管の内側で固まります。神奈川県温泉地学研究所は、エアリフトを使う井戸ではこの沈殿物(スケール)が付きやすいと報告しています。管に残った分は湯から減っていくので、源泉で測った分析値と浴槽に届いた湯の中身がそろうとは限りません。付着したものの正体は湯口の石灰華と同じ鉱物です。
地上での見え方
地上に出ているのは井戸の頭と機械だけです。湧き口も湯だまりも作らないので、小屋と揚湯管と電源盤が並ぶ景色になり、景色の側に温泉らしい手がかりが出ません。読めるのは掲示のほうで、湧出量の欄に併記された湧出状態が、この方式かどうかを示します。動力を備えるのに要る許可は温泉法の別の条にあり、そこは温泉の利用の許可と並ぶ制度の話になります。