掘削自噴

湧かせ方と地上の見え方

掘った井戸から、ポンプなしで湯が噴き上がります。人が穴を開けたという一点だけが自然湧出と違い、湯の出どころのほうは変わりません。

どうして湯が湧くか

圧力を持った層に、人が穴を通したときに起きます。水を通しにくい層にふたをされた帯水層は、押し上げる力を地下に閉じ込めたままになっています。そこへ井戸が届くと、水位の差のぶんだけ水は地表を越えて上がります。自然湧出との違いは通り道を人が作ったかどうかで、湯そのものの出どころは同じです。

地下で何が起きているか

噴き上がるかどうかは、層に残っている圧力で決まります。同じ層から汲む井戸が増えるほど圧は下がり、やがて自噴が止まって動力揚湯に替わります。掘り止めた深さがどの層に当たったかでも分かれ、同じ土地で隣の井戸が噴かないことも起こります。溶けていたガスが浅いところで泡になり、水を軽くして噴出を助けることもあります。深く掘るほど噴く、という関係にはなっていません。

出てくる湯の成分の傾向

深い層へ直接届くので、浅い地下水が混ざらないまま上がってくることがあります。噴き出すときに圧力が一気に下がるため、溶けていた二酸化炭素は抜け、炭酸カルシウムが固まりはじめます。湯は源に近い姿のまま地表に出て、そこから先の配管の中で変わりはじめます。井戸の内側や送湯管につくのはこの析出物で、地上に積もれば石灰華、湯口につけば湯口の石灰華と呼ばれます。

地上での見え方

高く立ちのぼる湯けむりの多くは掘削泉のものだと、別府温泉地球博物館は書いています。噴き上がった湯が空気で冷え、水蒸気が細かい水滴に戻って見えている状態で、噴気地帯の湯けむりと成り立ちは同じです。噴き上がる高さは残っている圧力しだいで、年を追って低くなることもあります。分析書では湧出量の欄に掘削自噴と記され、動力を使うかどうかがそこで分かれます。