攻略 | オトモアグリ

根・霧・養液の、見る所の順番。

見回りは、根・霧・養液の順に見ます。根は、霧が止まった・偏ったといった変化が最初に出る場所で、装置の数字より先に答えを返します。トマトを噴霧栽培で育てた研究(Tafesse ら 2021)は、この方式には根を包む培地の緩衝が無いため、停電や機器の故障で短い期間に株が崩れうると書いています。ミスターの詰まりで水が届かなくなること、装置に絶えず手入れが要ることも、運転の弱点として挙げています。毎日の見回りは、この弱点を人の目で埋める作業です。

最初に根を見ます。先が白く伸びていれば(白い根)、その区画には霧が届いています。色が変わっているときは、根の褐変のとおり老化・酸素不足・鉄などの沈着・病害が似た色に見えるので、色だけで原因を決めません。水耕のピシウム根腐れをまとめたレビュー(Sutton ら 2006)は、根が症状の無いまま定着される段階があり、無症状に見えた根の30〜70%が12〜24時間で褐変した報告を紹介しています。同じレビューは、根が大きく腐るまで葉は緑を保つことが多いとも書いています。葉だけを見ていると、根に先に出ている変化を見落とします。

次に霧を見ます。噴霧が始まる時刻に合わせて箱を開け、すべてのノズルから霧が出ているかを確かめます(ノズルから霧が出なくなる・霧が片側にしか届かない)。粒が粗くて水滴のまま落ちていないか(霧ではなく水滴が落ちる)、圧力計があれば前日と同じ値か(圧力が上がらない)も、この場で見ます。噴霧を止めたあとに垂れ続けていれば(止めても霧が垂れ続ける)、間欠のはずが常時濡れに変わります。

最後に養液を見ます。フロリダ大学の普及資料(HS1422)は、小さな水耕のレタスで EC 1.4〜1.8 mS/cm・pH 6.0〜7.0、液温65〜80°F(約18〜27℃)、溶存酸素は最低5 mg/L を目安に挙げ、液温は絶えず見ることを勧めています。液温が上がれば酸素は溶けにくくなり、上のレビュー(Sutton ら 2006)は、水温が20℃から35℃へ上がると溶存酸素が約9から7 mg/L へ下がると書いています(養液の温度が上がる)。タンクが濁ってぬめっていれば、同じものがノズルの内側にも回ります(タンクの養液が濁ってぬめる)。

やりがちな失敗は、減った分を水だけで足して、濃さを測らずに済ませることです。タワー型の水耕・噴霧装置の手入れを解説する動画(Humble Growth)は、継ぎ足す液を別の容器で作り、肥料を入れると pH が酸性側へ動くので、pH を合わせるのは肥料を入れたあとだと説明しています。同じチャンネルは、最初の数週間は pH をほぼ毎日見ること、水温が華氏85度(約29℃)を超えると根腐れを招くことも挙げています。濡れた面に光が当たれば藻がつくとも述べており、見回りでは箱の継ぎ目の漏れも一緒に見ます(光が当たった根)。

見回りの終わりに、根の色と伸び、霧の様子、液温と EC・pH を同じ順で書き留めます。フロリダ大学の同じ資料も、定期的に観察して病害虫を早く見つけることを勧めています。記録があれば、前日との差として小さな変化を拾えます。根の伸び方は、噴霧では掘り返さずに見比べられるので、日ごとの記録が効く見どころです。

出典

  1. 論文・英語 Tafesse EG ほか(2021) Aeroponic systems: A unique tool for estimating plant water relations and NO3 uptake in response to salinity stress
  2. 論文・英語 Sutton JC ほか(2006) Etiology and epidemiology of Pythium root rot in hydroponic crops: current knowledge and perspectives
  3. 資料・英語 Sandoya GV ほか(UF/IFAS Extension・フロリダ大学) Growing Lettuce in Small Hydroponic Systems (HS1422)
  4. 動画・英語 Humble Growth TOWER GARDEN GROWERS MASTERCLASS | PH. NUTRIENTS. ALGAE. ROOT ROT. MAINTANENCE AND OPTIMIZATION.
  5. 動画・英語 Humble Growth Tower Gardens 101 Hydroponic/Aeroponic Tower Gardens, What You NEED To know