さんかく座

秋の星座

見え方: 空が暗ければ肉眼で

さんかく座は、どれも3等から4等の3つの星が細長い三角形をつくる、暗い星座です。

形のたどりかた

アンドロメダ座の腰とおひつじ座の角にはさまれた場所に、長さ7度ほどの細長い三角形が横たわります。西のとがった頂点にα星、そこから東へ6度あまり離れて、β星とγ星が2度ほどの短い底辺を作ります。この底辺を先に見つけるのが近道で、アンドロメダ座の2等星ミラクから東へ拳ひとつぶん強送ると届きます。三角形の内側には目印になる星がなく、中から探すと形を見失います。

目じるしになる星

3つとも3等から4等で、遠くから目に飛び込む明るさはありません。底辺の西側にあるβ星が3.0等でこの星座では最も明るく、とがった頂点のα星が3.4等、底辺のもう一方のγ星が4.0等です。目印は星座の外にあり、アンドロメダ座のミラクとおひつじ座のハマルが同じ夜に見えているかが、探しに行けるかどうかの手堅い目安になります。3等星の見えない空では、最初から形になりません。

見ごろの時期と南中高度

12月中旬の20時ごろに南中し、10月から翌年1月の宵まで高いところにあります。β星の赤緯はプラス35.0度なので、東京(北緯およそ35.7度)では南中高度が約89度になり、ほぼ真上を通ります。天頂の近くは大気の層をいちばん短く通るため、一年のうちで条件のよい位置です。ただし見上げる姿勢が続くので、寝ころぶマットを敷けるかどうかで粘れる時間が変わります。

見える範囲(緯度と空の明るさ)

等級の数字ほどには、見えません。M33は全体で5.7等ですが、その光が満月2つぶんに近い約1度の面へ散っているため表面輝度が低く、街の空では双眼鏡を向けても背景に溶けます。天の川がうっすら見える程度に暗い空なら、そらし目を使って肉眼にも気配が出ます。同じ5.7等でも、1点に集まった星と1度に広がった天体では見えかたが別物になります。

星座の中の見どころ

主役はさんかく座銀河(M33)ひとつです。アンドロメダ座のミラクから南東へ約7度下ったあたりにあり、暗い空では肉眼でも、光の気配としてなら分かります。双眼鏡で見えるのは輪郭のない楕円形の淡い光が視野に浮かぶところまでです。写真のような渦の腕は、目にも双眼鏡にも出ません(銀河は渦を巻いた姿で見える)。三角形の3星のほかに、双眼鏡で楽しめる二重星もありません。

名前と物語

由来

神話としては地味な星座で、古代ギリシャでは形の似たアルファベットからデルトトン(三角形)と呼ばれていました。のちの伝承では、三角形の島シチリアをかたどったものとされ、豊穣の女神デーメーテールが娘のために、この島を星座として天に置くようゼウスに頼んだという話も伝わっています。星座の姿そのものは、地名の形をなぞっただけの単純な図形です。

正体と距離

主役のさんかく座銀河(M33)は、私たちの天の川銀河と同じ局部銀河群に属する隣人です。距離はおよそ270万光年で、肉眼で見える天体の中ではアンドロメダ座の銀河に次いで遠い部類に入ります。渦を巻く姿は写真の中だけのもので、肉眼や双眼鏡に届くのは、その渦の中心からこぼれる淡い光の気配だけです。

変わるもの

銀河どうしの距離も、止まってはいません。さんかく座銀河はアンドロメダ座の銀河に近づきつつあると考えられており、はるか先の未来には、天の川銀河を含めた局部銀河群のいくつかが一つに合わさっていくと予測されています。人の時間の物差しでは、何十億年という遠い先の出来事です。三角形という単純な形も、その遠い未来にはもう残っていないかもしれません。