うお座

秋の星座

見え方: 空が暗ければ肉眼で

うお座は、最も明るい星が3.6等で、黄道の十二星座で最も見つけにくい部類に入ります。

形のたどりかた

入口は秋の四辺形の南に接する小さな星の輪です。ペガスス座の四辺形の南辺から少し下りると、4等から5等の星が5つほどで作る輪が浮かび、これが西の魚にあたります。輪は差し渡し5度ほどのまとまりで、双眼鏡の一視野に収まる大きさです。輪から東へ、細い星の列が「く」の字に折れながら40度ほど伸び、折れた先に北の魚がいます。輪から先は暗い星ばかりで、輪まで届けば上出来という段差があります。

目じるしになる星

目じるしになる明るい星がありません。最も明るいη星でも3.6等で(理科年表)、2等星も3等の前半も持たない点が、この星座の性格です。手がかりは外にあり、ペガスス座の四辺形が輪の北、おひつじ座のハマルが紐の東、くじら座の頭が南に来ます。周りの明るい星で囲いを作り、内側を端から見渡す順になり、先に目へ入るのはたいてい輪のほうで、そこまでは目じるしの無い空白を横切ることになります。

見ごろの時期と南中高度

20時ごろの南中は11月下旬です。北緯35度では、輪のあたりで南中高度およそ58度、東の紐の先は70度あたりまで上がり、秋の宵には南の高い空を占めます。ただし高さがあっても明るさが足りないため、位置の良さは有利になりきりません。9月下旬の宵に東から昇り始め、1月には西へ移って大気減光の効く低空へ落ち、同じ星でも輪の形が崩れます。宵に条件がそろうのは11月から12月の2か月ほどです。

見える範囲(緯度と空の明るさ)

街と郊外の差が、そのまま見える見えないの差になります。市街地では一つの星も拾えないことが珍しくなく、郊外でようやく輪が形になり、天の川の見えるような空で紐の列がつながります。肉眼の限界等級が5等に届かない場所では、星座として成立しません。黄道上にあるため月や惑星が入り込む時期もあり、月明かりの晩は輪から先に消えます。同じ場所でも月齢で結果が変わります。暗い場所を選ぶことが、この星座では道具より先に来ます。

星座の中の見どころ

双眼鏡で増えるものは多くありません。渦巻銀河M74が輪の東、η星の近くにありますが、9等台の光が10分角ほどに広がるため表面輝度が低く、淡い空では位置が分かっても浮かびません。銀河は渦を巻いた姿で見えるという印象は写真のもので、双眼鏡に映るのは輪郭のぼやけた丸い光にとどまります。暗い空とそらし目が要る相手で、街から挑む対象ではありません。同じ視野に入る4等星から、位置をたどることになります。

名前と物語

由来

ギリシャ神話では、女神アプロディーテーとその子エロースが化けた魚と伝わります。怪物テュポーンに追われて川に逃げ込んだ2柱は、はぐれないよう互いの尾を紐で結んで魚に姿を変えたとされ、この紐が星座の中でく字に折れながら伸びる星の列にあたるといいます。輪の魚と紐の先の魚は、もとは1つの逃避行だったという話です。

正体と距離

星座の中には、双眼鏡でも見えない小さな天体も潜んでいます。ファン・マーネン星という白色矮星は、太陽ほどの質量を地球ほどの大きさに押し込めた燃え尽きた星の跡で、距離はわずか約14光年、太陽系にいちばん近い恒星のひとつです。淡いうお座の中で、いちばん近くにあるのはいちばん見えない星だという、逆転した組み合わせです。

変わるもの

歳差運動で春分点は星座の中を移動しており、今はおひつじ座から移ってきて、うお座の中にあります。ただしこの点もじっととどまってはおらず、少しずつ西どなりの星座へ向けて動いています。うお座は、この目に見えない基準点を今だけ預かっている星座です。次にこの点を引き継ぐのは、みずがめ座の方角だと考えられています。