おひつじ座

秋の星座

見え方: 肉眼で見える

おひつじ座は羊の姿にならず、目に入るのはゆるい弧を描くハマルなど3つの星だけです。

形のたどりかた

線をつなぐ前に、羊の形を探すのをやめます。目に入るのはハマル、シェラタン、メサルティムの3つだけで、全長10度ほどのゆるい弧を西へ描きます。西端のメサルティムは3.9等なので、街では二つの星の並びに見えることもあります。位置はペガスス座の四辺形の東、おうし座のすばるの西で、この二つを結んだ線の少し北を探すと、弧が浮かんできます。弧は西へゆるく反り、星図で見た向きとは傾きが違って見えます。

目じるしになる星

基準はα星ハマルで、理科年表では2.0等の橙色の星です。周りに明るい星がないため、何もない一帯にぽつんと光る2等星として目に留まります。シェラタンは2.7等でハマルの西へ4度ほど、メサルティムはさらに西へ2度弱の位置にあり、三つの間隔は双眼鏡の視野に収まる近さです。おうし座のすばるとペガスス座の四辺形を結ぶ線の途中、その北側にこの並びがあります。橙色は肉眼でも分かるほうで、白いシェラタンと交互に見ると差が出ます。

見ごろの時期と南中高度

南中は12月下旬の20時ごろです。ハマルの赤緯はおよそ+23度で、北緯35度なら南中高度は約78度と、頭上の近くまで上がります。この高さでは大気減光がほとんど効かないため、2等星のわりによく目立ちます。10月の宵にはまだ東の低空、3月の宵には西へ傾いていて、低い時期は3星のうち西端から先に見えなくなります。赤緯が高いぶん南の空の開け方には左右されず、建物の間からでも拾えます。

見える範囲(緯度と空の明るさ)

3つの主星は明るいので、市街地でも弧は残ります。この星座で空の暗さが効くのは、弧の周りに4等から5等の星が何個そえられるかという細部のほうで、夜空の明るさが変わっても3星は最後まで残る側です。赤緯は+20度前後なので、北緯35度からも南半球の中緯度からも見える範囲にあります。ただし面積の大部分は暗い星ばかりで、境界の内側を形として埋めることはできません。月のある夜でも、3星は残る側です。

星座の中の見どころ

双眼鏡で増えるものが、ほとんどない星座です。二重星のγ星メサルティムは離角およそ8秒角で、7倍から10倍の双眼鏡では割れません。銀河NGC772は10等より暗く、光が広がった淡い相手なので、双眼鏡の視野では背景と区別がつきません。春分点はかつてこの星座にありましたが、歳差で今はうお座の側へ移り、名前だけが暦に残っています。形をたどるまでが本番で、寄って増えるものは多くありません。

名前と物語

由来

ギリシャ神話では、金色の毛を持つ空飛ぶ牡羊クリュソマロスと伝わります。継母に命を狙われた王子プリクソスと王女ヘレーを乗せて空を飛び、ヘレーが落ちた海はいまもヘレースポントスと呼ばれますが、プリクソスは無事に地上へ着いたとされます。助けてくれた礼にこの牡羊をいけにえに捧げ、その金の毛皮は、のちにイアーソーンたちアルゴー船の一行が探し求める宝物になりました。

正体と距離

ハマルは太陽より大きく膨らんだ橙色の巨星で、距離は約66光年です。西どなりのメサルティムは、1664年にロバート・フックが彗星を追う途中で見つけた、望遠鏡による最初期の二重星発見の一つと伝わります。羊の姿を作る3つの星のうち、西端のメサルティムは、見つかった経緯だけは詳しく記録が残っている星です。残るシェラタンについては、まだよく調べられていません。