やぎ座

秋の星座

見え方: 空が暗ければ肉眼で

やぎ座は、6分角ほど離れて肉眼でも二つに分かれるα星アルゲディが見どころの星座です。

形のたどりかた

横に寝た逆三角形を作ります。西の端に3.6等のアルゲディと3.1等のβ星ダビーが縦に並び、そこから東へおよそ20度たどると2.9等のδ星デネブ・アルゲディに届きます。この東西の辺から南へ折れる星をつなぐと、下がとがった三角形が閉じます。西どなりはいて座で、天の川の東の岸から一歩出た位置にあたります。山羊の姿にはならないため、ひしゃげた三角として覚えます。底の辺は南に低く、視界の開けた南の空が要ります。

目じるしになる星

東端のδ星デネブ・アルゲディが2.9等で、この星座では最も明るい星です。西端のやぎ座アルファ星は3.6等と4.2等の2星が6分角離れており、目のよい人には二つに分かれて見えます。すぐ南のβ星ダビーも3.4分角の対で、こちらは双眼鏡で分かれる側です。三角の東西の端を先に押さえると、南の頂点は後から追えます。端の星はどれも3等前後なので、明るさで見分けるより配置で覚えるほうが早く済みます。

見ごろの時期と南中高度

宵の南中は9月下旬で、秋の星座では最も早く見ごろが来ます。北緯35度から見ると、デネブ・アルゲディの南中高度は約39度、アルゲディは42度ほどで、南の低い空から上がりきりません。この高さでは大気減光が0.2等ほど効き、街明かりの層とも重なります。11月の宵には西へ傾き、12月には夕方の薄明の中へ沈みます。9月の宵に南、10月には南西と、見ごろの期間そのものが短い星座です。

見える範囲(緯度と空の明るさ)

最も明るい星が2.9等なので、市街地では三角形が閉じません。郊外で三角が形になり、暗い空では南の頂点まで追えます。アルゲディが肉眼で二つに分かれるかは、視力と空の状態をまとめて測る目安になります。肉眼の分解能の限界とされる1分角より広い6分角の対なので、分かれない場合は空の明るさか目の側に理由があります。赤緯は南へ20度前後で、北緯35度からは南の低い空にとどまり、地平近くの街明かりと重なります。

星座の中の見どころ

やぎ座アルファ星が最大の見どころです。肉眼で二つに割れる対が、双眼鏡でははっきり間の空いた二粒になり、色の差も少し分かります。もう一つの球状星団M30は三角の南東、ζ星の近くにあり、7等台ですが双眼鏡では淡い小さなしみ止まりで、粒には分かれません。探すときはζ星を視野に入れて南東へ振ります。見どころの数より、肉眼で割れる対が一つあることがこの星座の値打ちです。

名前と物語

由来

ギリシャ神話では、山羊の姿をした牧神パーンと伝わります。怪物テュポーンに追われて仲間の神々とナイル川へ逃げ込んだとき、あわてて水に飛び込んだ拍子に下半身だけが魚に変わってしまい、山羊と魚が合わさった姿になったとされます。テュポーンとの戦いでゼウスを助けた働きに報いて、この姿のまま星座に上げられたという話が伝わっています。

正体と距離

肉眼で分かれて見えるアルゲディは、実は近くにいる2つの星ではありません。手前のα2星は約109光年、奥のα1星は約870光年先にあり、8倍近く距離が違う無関係な星が、たまたま同じ方向に重なっているだけです。二重星に見えても、たがいを回り合っているわけではありません。視力を試す星として親しまれてきましたが、試しているのは実は2つの無関係な光の重なりです。