みなみのうお座

秋の星座

見え方: 肉眼で見える

みなみのうお座は、秋の南の低い空に1等星フォーマルハウトがひとつだけ光る星座です。

形のたどりかた

みずがめ座の水がめから南へ、4等前後の星が細い列を作って流れ落ちます。その列の終点にあるのが1.2等のフォーマルハウトで、魚が水を飲む口の位置にあたります。ただし列の途中の星は暗く、街の空では列そのものがつながりません。先にペガスス座の四辺形を見つけ、西側の辺を南へ倍ほど延ばすほうが速く着きます。魚の形をたどる線はこの1等星と4等台の星を結ぶもので、形として見えるのは郊外の空からです。

目じるしになる星

フォーマルハウト1つで、この星座の目じるしは足ります。1.2等は21個ある1等星の中では暗いほうですが、周囲に2等より明るい星が1つもありません。そのため秋の南の低空でぽつんと目立ち、「秋のひとつ星」と呼ばれてきました。低いところで1つだけ光る白い星を見つけたら、まず取り違えません。名はアラビア語の「魚の口」に由来し、星座の絵では魚が水を受ける位置に置かれています。

見ごろの時期と南中高度

10月中旬の20時ごろに南中し、9月から11月の宵に南の低い空を通ります。南中高度は90度から観測地の緯度を引き、赤緯マイナス29.6度を足した値になります。東京(北緯およそ35.7度)で約25度、札幌では約17度にとどまり、那覇まで下がれば約34度です。南へ行くほど高く昇るため、同じ星でも土地によって見え方がはっきり変わります。

見える範囲(緯度と空の明るさ)

見えるかどうかは、南の地平線がどこまで開けているかで決まります。東京での南中高度は約25度しかなく、建物や山が15度ぶん立っているだけで、南中しても姿を見せません。低い空は大気を斜めに長く通るため大気減光がきき、1等星でも2等星ほどに弱まります。街明かりのたまる南向きの空ではさらに沈み、稚内あたりでは南中高度が約15度です。北へ行くほど不利になる星座です。

星座の中の見どころ

双眼鏡を向けても、増えるものがほとんどありません。この星座には明るい星団も星雲もなく、フォーマルハウトのほかは4等台の星が数個あるだけです。この星を取り巻く塵の輪も、ハッブル宇宙望遠鏡が中心の光を隠して撮った画像の中の姿で、目にも双眼鏡にも出てきません。同じ低い空で双眼鏡が効くのは、東隣にあるちょうこくしつ座銀河のほうです。

名前と物語

由来

シリアの女神デルケトーを救った大きな魚と伝わります。誤って湖に落ちた女神を魚が背に乗せて助けたことから、その地では魚が神聖な生き物として大切にされるようになったとされます。恩を忘れないよう、この大きな魚と、その子とされる2匹の小さな魚(うお座)が、あわせて星座として天に残されたという話が伝わっています。

正体と距離

フォーマルハウトは約25光年と、1等星の中でも地球に近い部類です。まわりに広がる塵の円盤の中に、かつて惑星のような光の点が見つかって話題になりましたが、のちの観測で、それは小天体どうしが衝突して飛び散った塵の雲ではないかという説が示され、正体はまだ決着していません。肉眼にも双眼鏡にも映らない、精密な観測だけがとらえた姿です。

変わるもの

フォーマルハウトは、太陽よりずっと重く明るいA型の星で、寿命は太陽よりはるかに短いと見積もられています。年齢はおよそ4億年で、主系列星として過ごせる時間はおよそ10億年と計算されており、いまはその生涯の半ばに近づいたところです。残る時間を使い切ったのち、いずれは外層を失って白色矮星として静かな終わりを迎えると考えられています。