食物繊維
食事の基本
食物繊維は、腸と満腹感を整える食事の土台
役割
消化されずに大腸まで届く炭水化物で、水に溶ける水溶性と溶けない不溶性があります。便通や満腹感に関わり、無作為化試験を集めた総説(Wanders ら、2011年)では、食欲が下がった比較は粘性の高い繊維(ペクチン、β-グルカン)で59%、粘性の低い繊維で14%でした。体重への影響は小さいとされます。
摂り方
日本の食事摂取基準(2025年版)は、成人で1日25g以上を望ましい量とします。185本の前向き研究と58本の介入試験を統合したメタ分析(Reynolds ら、2019年)で、25〜29gの摂取で疾患のリスク低下が最も大きかったためです。日本人の摂取の中央値は13.3gと少なく、玄米やオートミール、豆類、いも類を主食側に組み込むのが近道です。
注意点
摂りすぎるとガスや腹部の張り、便秘が起こると、筋トレ系チャンネルの Sean Nalewanyj は注意しています。食事摂取基準(2025年版)も、便秘の重症化予防を目的とした追加摂取ではガスがたまるなど症状の悪化も報告されているとして慎重な判断を求めます。サプリで通常の食事以上に摂っても、より大きな利益の根拠はありません。過敏性腸症候群など腸の不調がある方は、自己判断で増やす前に医療者に相談してください。
出典
- 論文・英語 Wanders AJ ほか(2011) Effects of dietary fibre on subjective appetite, energy intake and body weight: a systematic review of randomized controlled trials
- 論文・英語 Reynolds A ほか(2019) Carbohydrate quality and human health: a series of systematic reviews and meta-analyses
- 公的機関 厚生労働省(2025) 日本人の食事摂取基準(2025年版)策定検討会報告書「1-4 炭水化物」
- 動画・英語 Sean Nalewanyj Bodybuilding & Fiber Intake: How Much Fiber Should You Eat?
解説動画: 水溶性と不溶性の割合、発酵が長く続く食物繊維の取り方/胃と腸の健康解説 内視鏡チャンネル
概要: 消化器の医師二人が、食物繊維を種類と時間の面から話している。水に溶ける水溶性と溶けない不溶性があり、腸内細菌の餌になるのは水溶性のほう。さらに繊維の長さによって腸内細菌が発酵させる時間が変わり、発酵が長く続くほど腸の環境は良くなるという見方で、食材の組み合わせ方を整理していく。
発酵の時間は繊維の長さで決まる: 玉ねぎに含まれるオリゴ糖のような短い繊維は、食べてから4時間ほどで発酵のピークに達し、そこで持続が切れる。大麦のβグルカンはピークまで6時間以上、豆類のレジスタントスターチは10時間以上かかる。長さの違うものをまとめて取ると、腸内細菌の多様性も増え、発酵が長く続くという組み立てになる。
朝に取ると昼の血糖が上がりにくい: 食べてから数時間で腸内細菌が短鎖脂肪酸を作りはじめ、その刺激で腸のL細胞からGLP-1というホルモンが出る。朝に取っておくと、昼食で血糖値が上がりにくくなる。これをセカンドミール効果と呼んでいる。夕食でも取ると就寝中も発酵が続き、24時間発酵しているような状態になると話す。
割合は水溶性1・不溶性2: 理想の割合は水溶性1に対して不溶性2。ところが葉物野菜はほとんどが不溶性で、外食でサラダを足しても水溶性はほとんど取れない。不溶性ばかり増やすと、かえって便秘になる人もいる。答えとして挙げているのが納豆で、1パックに3.3g、うち水溶性1.1g・不溶性2.2gとちょうど1対2になる。
「レタス何個分」に意味はない: 水溶性が多いのは昆布やわかめなどの海藻類で、大麦やトマトも挙げている。こんにゃくは芋の状態では水溶性のグルコマンナンだが、固めて製品になると不溶性に変わる。一方宣伝の「レタス何個分」は、レタス自体の繊維が少ないので比べる意味が薄い。レタスは9割以上が水分で100gあたり1.1g、ごぼうは5.7g、えのきは3.9g。