増量(バルク)
食事の基本
増量(バルク)は、筋肉を増やすための余剰期
役割
消費カロリーを上回る食事を続け、筋肉を増やしやすい環境を作る期間のことです。健康な男性73人が週4日の筋トレを8週間続けた試験では、約2,000kcalの補助食を毎日足した2群が、足さない群より体重も除脂肪量も増えました(Rozenekら、2002年)。ただし、筋肥大に必要な余剰の大きさは未確定だと2019年のレビューは述べます(Slaterら)。
摂り方
維持カロリーの10〜20%増、体重は週0.25〜0.5%増が初心者〜中級者の目安とされ、上級者はもっと控えめにします(Irakiらのレビュー、2019年)。Jeff Nippard(YouTube)は5〜10%増で足りると説明します。1週間の体重平均が横ばいなら食事を増やし、増えすぎたら戻します。たんぱく質は、同レビューでは体重1kgあたり1.6〜2.2gとされます。
注意点
一気に増やすほど、増える体脂肪も多くなります。筋トレ経験者17人を維持・5%増・15%増に分けた8週間の試験(Helmsら、2023年)では、体重が増えるほど皮下脂肪の厚さも増え、筋の厚さには群間の差の根拠がありませんでした。エリート選手39人の試験でも、食事計画で多く食べた群は自由に食べた群より脂肪量の増加が大きく(15%対3%)、除脂肪量は同程度でした(Gartheら、2013年)。
出典
- 論文・英語 Iraki J ほか(2019) Nutrition Recommendations for Bodybuilders in the Off-Season: A Narrative Review
- 論文・英語 Slater GJ ほか(2019) Is an Energy Surplus Required to Maximize Skeletal Muscle Hypertrophy Associated With Resistance Training
- 論文・英語 Rozenek R ほか(2002) Effects of high-calorie supplements on body composition and muscular strength following resistance training
- 論文・英語 Helms ER ほか(2023) Effect of Small and Large Energy Surpluses on Strength, Muscle, and Skinfold Thickness in Resistance-Trained Individuals: A Parallel Groups Design
- 論文・英語 Garthe I ほか(2013) Effect of nutritional intervention on body composition and performance in elite athletes
- 動画・英語 Jeff Nippard How To Bulk Like A Pro (Using Science)
解説動画: 太れない人が体重を増やすための食事と運動/ザ・きんにくTV 【The Muscle TV】
概要: 体重の増減は摂取カロリーと消費カロリーの差で決まるので、太りたいなら消費より摂取を多くする。それが分かっていても増えない理由を、食が細い・胃腸が弱い・代謝が高いの3つに整理して解説する。本人も高校3年で身長177cm・体重62キロの細身だったが、食事を変えて今の体まで増やしたという実体験が土台になっている。
増やすのは脂質ではなく炭水化物: 1gあたり脂質は9kcal、炭水化物は4kcalで脂質のほうが効率がよさそうに見えるが、継続してカロリーを積み上げるなら炭水化物がよい。ご飯やパンは2時間ほどで消化されるのに対し、肉や揚げ物は6〜7時間かかるため、脂ものが多いと次が食べられずコンスタントに摂取できなくなる。バランスの取れた食事の上に、ご飯をもう一杯、食欲がないときは麺類、という形で炭水化物を足していく。
こまめに食べる・ウエイトゲイナーを使う: 1回でドカンと食べて時間を空けるより、3〜4時間に1回のペースでこまめに食べるほうがよい。どうしても食べられない日は、タンパク質の含有量が控えめで炭水化物を多く含むウエイトゲイナーというプロテインを使う。比較的安く高カロリーで、甘く味付けされていて飲みやすいため摂取カロリーを簡単に上乗せできる。本人が最初に買ったプロテインもこのタイプだった。
胃腸が弱いならまず腸内環境から: たくさん食べても消化吸収しきれなければ身にならないので、胃腸が弱い人はまず環境を整える。ヨーグルトなどの発酵食品で善玉菌を増やし、野菜や海藻で食物繊維を摂り、大根やパイナップルのようにタンパク質の消化を助ける消化酵素を含む食材を毎食組み合わせる。さらに冷たいものを避けることを重視しており、本人は夏でも氷入りの飲み物やアイスを口にせず、冷たい食事のあとは温かいお茶を飲んで胃腸を冷やさないようにしている。
代謝が高い人ほど運動する: 日常の消費が多くて太れない人も、結局は食べる量を増やすしかなく、空腹の時間をなくし、食事が取れない場面ではウエイトゲイナーを携帯してこまめに摂る。そのうえで運動すると代謝が上がって空腹になり、消化吸収と消費のリズムが整うため、運動していない人こそ体を動かしたほうがよい。増量目的なら過度な有酸素は不要で、部位ごとに体をデザインしながら体重を増やせる筋トレが最適。胃腸が弱い人には、腸が刺激される腹筋運動を勧めている。焦って一気に増やすと胃腸に負担がかかるので、少しずつ慣らすこと。