クレアチン

増量・パフォーマンス

効果の裏づけが最も厚い定番

役割

筋肉にクレアチンリン酸として蓄えられ、数秒から十数秒の高強度運動でATPを素早く作り直すための成分です。同じ重量であと1〜2回粘れるようになり、その積み重ねで長期のトレーニング総量が増えることが筋肥大につながります。

摂り方

1日3〜5gを毎日、時間帯は問わず続けるのが基本です。筋中が満たされるまで数週間かかるので、早く立ち上げたい場合は1日20gを4回に分けて5〜7日のローディングを行います。トレーニングのない日も欠かさないことが大切です。

注意

水分を筋肉に引き込むため、開始から1〜2週間で体重が1〜2kg増えることがありますが、これは脂肪ではありません。健康な人での安全性は多くの研究で確認されている一方、腎機能に問題がある方は自己判断で使わず医療者に相談してください。

解説動画: クレアチンは何をする物質か、ローディングは要るのか/ザ・きんにくTV 【The Muscle TV】

概要: クレアチンは筋肉のエネルギーの源となる物質。体を動かすエネルギーであるATP(アデノシン三リン酸)は体内に多く蓄えられずすぐ切れてしまうため作り直しが必要で、その経路は運動の種類で変わる。2〜8秒以内のスプリントのような瞬発力が必要な運動ではクレアチン回路が使われるので、筋トレもここに当たる。体内ではクレアチンリン酸として蓄えられ、そのリンを渡してATPを作り直している。

効果は2つ: 効果は大きく2つ。ひとつはエネルギーになることで、より強度の高いトレーニングができ、その結果として筋肥大につながること。飲めば筋肉が増えるという性質のものではないと釘を刺している。もうひとつは吸収されるときに水分も一緒に筋肉へ取り込まれるのでパンプアップしやすくなること。その分、体重がやや増えることもある。

水分と糖質と一緒に摂る: 水分と一緒に骨格筋へ吸収される性質があるので、飲むときは水分を多めに摂りながらにすることが大切。また糖と一緒だとインスリンとともに取り込まれて吸収率が上がるため、水だけで飲むよりも炭水化物と合わせたほうがよい。

ローディング期間は要らない: 最初に大量に飲むローディングについては、実験結果から特に必要ないという結論。多く摂れば体内のクレアチン量は一気に上がるが上限があり、徐々に摂っていっても2〜3週間後の貯蔵量は同じだった。むしろ一気に大量に摂るとクレアチニンという副産物が増え、腎臓や心臓にやや負担をかけることがあるので、無理にローディング期間を設ける必要はない。

食品から摂るなら: クレアチンは食品からも摂れる。肉類に多く、特に青魚に多く、ニシンなら1キロあたり6.5〜10g含まれる。ただし熱に弱いので、食材から意識して摂りたいならできるだけ熱を通さない調理にするとよい。

解説動画(海外・英語): How To Use CREATINE To Build Muscle: Loading, Timing & Hair Loss? (Science Explained)/Jeff Nippard

なぜクレアチンだけは「宣伝と中身が合っている」のか: サプリ業界が敬遠されるのは、宣伝どおりに働かないことと、値段が中身に見合わないことの2点だが、クレアチンはそのどちらにも当てはまらないという導入。安全性と効果を調べたヒト試験は700件以上あり、スポーツサプリの中で最も研究されている。ただしクレアチンHCl・クレアチンエチルエステルといった派生品は、モノハイドレートほどの裏付けがないのに値段だけ上がっていることが多い。素のクレアチンモノハイドレートは安く、小さじ1杯ぶんを食事から摂ろうとすると生肉1kgが必要。加熱でクレアチンは変性するので、肉をたくさん食べていても摂取量としては届かない。

体の中で何をしているのか: クレアチンは3つのアミノ酸がつながった小さなペプチドで、体内でも作られ、食品では生の肉にほぼ限って含まれる。体には3つのエネルギー系があり、有酸素系は長時間の運動でゆっくりATPを作り、無酸素(解糖)系は30秒〜2分の強い運動で血糖からATPを作る。そしてフォスファゲン系は、筋肉に蓄えたクレアチンリン酸を使ってきわめて速くATPを作る。全力のスプリントや高重量のベンチプレスのように一瞬で大きな出力が要る場面で使われているのがこの系統で、クレアチンの出番はここ。国際スポーツ栄養学会のポジションスタンドによれば、通常の食事(1日1〜2g)だと筋中の貯蔵は60〜80%しか埋まっていないが、サプリで20〜40%上乗せできる。

ローディングは必要か、飲むタイミングは: 最速で満たすなら1日20〜25gを1週間のローディング、その後は1日5gの維持で足りる。最初から5gだけでも構わないが、飽和までに1か月ほどかかる。初めて飲むとき、あるいは長く空けたあとならローディングが合理的、という立場。タイミングについては2013年の論文でトレーニング後のほうが除脂肪量とベンチプレスの向上が大きかったが、差は小さく追試もされていない。多くの研究は1日のいつ飲んでも飽和には届くとしている。

どれくらい効くのか。効かない人もいる: 300件の研究をまとめた2003年のレビューで、最大筋力とパワーが5〜15%向上。Volekらの研究では、トレーニング歴6年の被験者でも、中重量で限界まで行う5セットの総回数が30%増えた。総ボリュームと筋肥大には強い関係があるので、こなせる仕事量が増えることは長期的に筋量へつながる。水分については筋肉の中に水を抱える変化で、皮下に溜まるわけではない。むしろ筋繊維の直径が増え、細胞膨潤の機構でさらに成長に働く可能性がある。一方で2〜3割の人はほとんど反応しないという推定があり、肉をよく食べる人や年齢が高い人は反応が薄い側に入りやすい。

休薬・カフェインとの併用・抜け毛の話: カフェインと違って耐性がつかないので、周期的に休む必要はない。2003年の研究で21か月連続の摂取でも健康上の悪影響は見られなかった。カフェインとの併用については1996年の論文が阻害を示唆したが被験者9人で検出力が足りず、以降の3研究はむしろ相乗的な結果を示している。抜け毛については、クレアチンが男性型脱毛を起こすかは直接調べた研究が無い。2009年のラグビー選手を対象にした研究で、1日5gを2週間でDHTが40%上昇したという報告はあるが、ウエイトトレーニング自体もDHTを上げることが示されており、また関係するとしても遺伝的素因や家族歴のある人に限られる可能性がある。気になる場合は自己判断で対処せず、医療者に相談したほうがよい。