βアラニン
増量・パフォーマンス
βアラニンは、燃える感じの正体になり持久力を支える成分
役割
体内でヒスチジンと結びついてカルノシンになるアミノ酸で、筋肉中のカルノシンは運動でたまる酸を緩衝します。国際スポーツ栄養学会の2015年の声明は、1〜4分続く運動で効果が出やすい一方、60秒未満では改善が見られず、25分超は研究が少なく一貫した効果が示されていないとしています。2017年の40試験1461人のメタ分析では、全体の効果量は0.18(95%信頼区間0.08〜0.28)でした。
摂り方
1日4〜6gを、1回2g以下ずつに分けて毎日、最低2週間は続けるのが国際スポーツ栄養学会の声明の目安です(1.5gを1日4回で6g)。筋中のカルノシンは4週間で最大64%、10週間で最大80%増えるため、単発で飲んでも意味は薄く、期間をかけて積み上げるサプリです。やめてから基準値に戻るまでには、6〜15週間かかる人もいます。
注意点
速放性の1回量が800mgを超えると皮膚がチクチクするパレステジアが起こりえ、たいてい60〜90分で消えます。徐放タイプにするか1回量を減らすと軽くなります。国際スポーツ栄養学会の声明は、健康な人の推奨量なら安全としつつ、筋力トレでの筋力の伸びへの上乗せは示されていないとします。症状が強い・長引くときは使用を止め、持病や妊娠中の方は医療者に相談してください。
出典
- 論文・英語 Trexler ET ほか(2015) International society of sports nutrition position stand: Beta-Alanine
- 論文・英語 Saunders B ほか(2017) β-alanine supplementation to improve exercise capacity and performance: a systematic review and meta-analysis
- 動画・英語 Myprotein What Does Beta Alanine Do? Will It increase Performance? | Nutritionist Explains... | Myprotein
解説動画: βアラニンの効果とカルノシンローディングという飲み方/筋肉あるある
概要: βアラニンは安価でありながら効果が証明されている成分で、国際スポーツ栄養学会やオーストラリア国立スポーツ研究所がエビデンスレベルを最も高いカテゴリAに分類している。クレアチンやカフェインと同じく、直接パフォーマンスを引き上げるエルゴジェニックエイドに当たる。80%の力を100%に戻すものではなく、100%を120%にする類のもので、材料になるプロテインとは役割が違う。
カルノシンの原料になる仕組み: βアラニンはアミノ酸の一種で、筋肉が力を発揮するときに使うカルノシンというエネルギー物質の原料になる。カルノシンは馬が素早く駆け出すような瞬発力の場面で働き、筋肉が酸性に傾くのを遅らせて疲労を抑える。イミダペプチドの構成要素でもある。カルノシンをそのまま飲んでも人間は吸収できず、肝臓でβアラニンとヒスチジンに分解されてから使われるため、はじめからβアラニンを摂ればよいという理屈になる。
研究で見えている効果と限界: 2012年に15件の研究をまとめたメタアナリシスでは、プラセボ群の効果量0.108に対しβアラニン群は0.37と、意味のある差が出ている。ただし同じ分析には、60秒に満たない運動には効果が薄く、60〜240秒続く運動に有益という注意書きが付く。一方で2009年と2013年の研究では6〜60秒の運動でも向上が見られ、2006年の研究ではクレアチン併用でスクワットのMAXが約25kg増加、2016年の研究では1日3.4gを8週間続けて65%1RMのレッグプレスの反復回数が増えている。
効かせるには量と期間が要る: βアラニンには2つの癖がある。ひとつは摂取量と効果量が直線的ではなく、メリットが一気に立ち上がる量がどこかにあること。もうひとつは1回飲んで効くものではなく、飲み続けて筋中のカルノシンが一定量を超えたところで効果が出ることで、これをカルノシンローディングと呼ぶ。成果の出ている実験は1日3.4〜6.4gを数週間から数か月続けており、1日5gでも中央値に届くまで36日かかる計算になるため、この範囲の量を最低1か月は続けることを勧めている。トレーニング30分前に一気でも、複数回に分けても構わない。
ピリピリするフラッシュ現象: 有害な副作用は現状報告されていないが、摂取から10分前後で皮膚がピリピリするβアラニンフラッシュが起こることがある。赤みが出ることもあるが健康上の問題はない。苦手な場合は1日の総量は変えず、1回の摂取を1g以下になるよう細かく分けると症状は弱まる。クレアチンと並行して摂るのも有効な可能性があるとしている。