クールダウン
歌ったあと・日ごろ
歌い終わりに声を戻すための短い手当て
どういうこと?
歌ったあとの喉は、走ったあとの脚に近い状態です。声帯まわりの筋肉が縮んだまま固まり、話し声がかすれたり、翌日だけ高い音が出なくなったりします。使ったぶんを楽な高さへ戻す時間を置くと、次に歌うときの戻りが早くなり、翌朝の枯れも軽くなります。二次会まで声を張り続けた日と、最後に少しほぐして帰った日とでは、一日おいたときの差がはっきり出ます。
どうするか
部屋を出る前の3分で足ります。口を閉じたハミングを話し声より少し低い高さで8拍、続けてリップロールを上下ゆるやかに3往復、最後に「はー」とため息だけを5回。どれも自分の耳にやっと届く音量で十分です。出し直して確かめるのは逆効果なので、調子の確認は次に歌う日へ回します。帰り道の会話も少なめにしておくと、翌朝の出方が変わります。
注意
歌い終わりに大声で感想を言い合う時間が、実はその日いちばん喉に効いてしまいます。冷たい飲み物を一気に流し込むのも、縮んだ筋肉には向きません。冬なら外に出る前にマスクを一枚、そのあとは静かに帰るだけでかまいません。かすれが翌日いっぱいで抜けないなら歌い方と休ませ方を見直し、数日続くときは耳鼻咽喉科へ。
解説動画: やってないの?歌った後のクールダウン!【ボイトレ】/声が人生を変える Cyber Monkey TV
ウォームアップの裏返し: 運動の前に準備体操をして後にストレッチをするのと同じで、ウォームアップがあるならクールダウンもある、という立て方です。ウォームアップは声の方向や響きを定めて圧を上げていく作業ですが、こちらは使った喉をほぐして戻すのが目的なので、力まないことが第一に来ます。
音程は当てにいかない: 音程は付けるけれどきっちり当てにいかなくていい、多少あいまいでかまわないと言い切ります。ねらいが脱力なのでだらっとした状態で出す。ただし投げやりにやるのとは別で、声区も響きも一通り動かす作業は残す、という線引きでした。
地声から裏声まで通す: 地声だけ、裏声だけで終わらせず、チェスト・ミドル・ヘッドボイスをひと続きで通します。チェストは話し声と同じ質、ヘッドは裏声で、声の質が全然違うという説明つき。使う幅は1オクターブで、ふだん地声で出せる高さでもあえて裏声に渡すところが要だとしています。
口の響きと鼻の響き: 響かせる場所も両方使います。「ブー」で喉頭を落とした口の響き、口は開けたままの「ん」で鼻の響き、裏声では鼻の響きだけ。共通の条件は声量を小さいままにすることで、息を強くして押し出さないよう繰り返し注意します。
楽な高さで止めて休む: 音域は限界まで広げず自分がいちばん楽な範囲で止めます(上限の目安は女性でC5、男性はその少し下)。締めはエッジボイスで、声門をやわらかく閉じる声帯のストレッチの扱い。そのあとは声を出さない時間を置くこと——どんなに良い発声でも声帯は疲れるので、終わってすぐ歌い直すと意味が消えると釘を刺します。