加齢による声の変化
声が出るしくみ
年齢とともに動く声の高さと張りの強さ
どういうこと?
年を重ねると声帯の粘膜が硬くなり、支える筋肉も細くなります。閉じ方が甘くなるぶん息が漏れて、声量が落ちてかすれやすくなります。傾向としては男性は高く、女性は低く寄っていき、40代から少しずつ、はっきりしてくるのは60代以降が多いようです。個人差はとても大きい部分です。
どうするか
手がかりは声を使い続けることです。週に1回でも歌う日を作り、日ごろは本や新聞を3分声に出して読むだけでも、張りは落ちにくくなります。歌う前にはリップロールを20秒ずつ3セット。キーは昔の設定に固執せず、今日の声で無理なく響く高さへ下げ直すと、かすれが目立ちにくくなります。
注意
昔と同じキーで押し切ろうとするのがいちばん喉に負担の大きい歌い方です。半音下げは衰えではなく調整で、キーを変えるは年齢に関係なく使う道具にすぎません。ただし数か月のうちに急にかすれた、飲み込みにくいという変化は、加齢と決めつけずに耳鼻咽喉科へ相談してください。
解説動画: 加齢性音声障害にも効果のあるvocal function exercise(発声機能拡張訓練)/日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 公式チャンネル
四つに分かれた発声訓練: 動画が扱うのは四つのプログラムに分かれた発声の訓練です。声を長く伸ばす、音階を上げる、下げる、決めた高さで伸ばすの四つを順に進めます。喉頭の筋力を上げること、筋どうしのつり合い、発声と呼吸と共鳴の協調を良くすることを目標に置くと、最初に説明されます。
声をまっすぐ長く伸ばす: 一つ目は、自分のタイミングで声をまっすぐ、できるだけ長く伸ばす練習です。一度では終わらせず同じことを繰り返し、続けて自分の楽な高さでも伸ばします。指導する側はこれを喉頭の筋肉の準備運動と位置づけていて、ウォームアップにあたる一本になっています。
低いほうから上げていく: 二つ目は低いところから高いところへ音階を上げていく練習です。指導する側が先に一度やって見せ、それを聞いてから同じ形をなぞらせる進め方。このとき「お」の口の形を崩さないよう注意が入り、狙いは喉頭の筋肉を伸ばすことだと後からまとめられます。
下げる側と決めた高さ: 三つ目は反対に高いほうから下げていく練習で、こちらは筋肉を縮める側にあたります。四つ目は、指導する側が指定した音に合わせて声を長く保つもので、喉頭の筋力を強くするのが目的。ロングトーンと同じ形が、狙いを変えて二度出てくる組み立てになっています。
朝と晩に分けて続ける: やり方だけでなく回数まで指定があり、1日2回、朝と晩、それぞれのプログラムを3回ずつ行うよう伝えます。最後は家でも続けてくださいという一言で締めくくられ、その場限りの体験ではなく日ごろ繰り返すものとして渡されるのが、この訓練の姿になっています。