声色の使い分け
響きと声色
場面ごとに声の質を切り替える工夫
どういう技術?
音程も音量も同じまま、響かせる場所と息の混ぜ方を変えると、声の色が変わります。前寄りに響かせれば明るく硬く、奥で響かせれば暗く丸く聞こえ、息を多く混ぜれば輪郭のやわらかい声になります。歌がうまい人ほど、この引き出しの数が多く、1曲の中でも場面ごとに替えています。
やり方
同じ1フレーズを続けて3回歌います。1回目は口角を軽く上げて明るく、2回目はあくび気味の口の中で暗く、3回目は息を多めに混ぜてやわらかく。音程とテンポは変えないのが条件です。3つの差が自分で聞き分けられたら、曲の中で「ここは2番目」と割り当てていきます。
練習のしかた
録音機能のある部屋なら、3通りを1回ずつ録って続けて聞きます。自分の耳では差が大きく感じられても、録音では思ったほど違わないことがほとんどです。週に1度、同じフレーズで録り直して前の録音と並べて聞きます。半年単位の話で、1回の練習で身につくものではありません。
やりがちなミス
声色を作ることに気を取られると、音程が置き去りになります。採点の表現力は声色そのものを見ているわけではないので、色を増やしても点が伸びるとはかぎりません。また、低く太く作る癖は喉を押しつける形になりやすく、2曲目でもう声が重くなります。無理のない声を軸にして、色は上に足していく順番です。
解説動画: 【知らないと損】『いい歌声』の正体はコレ。「倍音と音色」で 場の雰囲気を一変させる歌声の作り方【ボイトレ】/ボイトレコーチ-ダイキ
音色は音程とは別のもの: 同じ高さの音でも楽器が違えば印象が変わるように、声にも音色という要素があります。同じフレーズを音程だけ意識した声・力んで声量を出した声・音色を意識した声の3通りで歌い比べると、音程は3つとも同じなのに3つ目だけうまく聞こえる、という実験から始まります。
響かせる場所は4か所: 体は響く場所を自分で選べる楽器だとして、4か所が挙がります。胸は手を当てると振動が分かる温かい響き、鼻の横はハミングでビリビリする明るい響き、うなじは首の後ろに手を当てて出す柔らかい響き、頭のてっぺんは口を縦に開けて出す透明な響きです。
力まずに勝手に響かせる: 練習は手を当てて4か所を順に鳴らすだけ。響かせにいくのではなく、力を抜いて鳴るに任せるくらいがちょうどいいと言います。体積の大きい胸は安心感のある響き、小さい鼻は鋭く高い響きになりやすく、大きい楽器ほど低く、小さい楽器ほど高いのと同じ理屈だと説明されます。
歌詞を4色に塗り分ける: 好きな曲の1番だけ用意し、歌わずに読んで感情を色分けします。嬉しいは黄、悲しいは青、怒りは赤、優しいは緑。そのうえで黄は鼻、青は胸、赤は胸と鼻の混ぜ、緑はうなじと音色を割り当ててから歌うと、言葉の意味が伝わる声になる、という練習です。
切り替えはつまみで: 配分の例は、頭は胸8割に鼻2割、次で胸5・鼻3・うなじ2と混ぜ、山場で大きく変える流れ。ここまで数字で考えるわけではなくイメージだと断りが入ります。高いからと全部頭の響きで大声にすると、隣の部屋から聞こえるような耳の痛い声になるので、胸の支えを残して上の響きを足します。切り替えはスイッチでなくボリュームのつまみで、1フレーズの中で徐々に移します。