鼻濁音

響きと声色

語中のガ行をやわらげる日本語の音

どういう技術?

ガ行が語の途中や終わりに来たとき、鼻へ抜けるやわらかい音に変える発音です。耳には「んが」に近く聞こえます。破裂の強いガ行と違って角が立たないため、言葉のつながりがなめらかになります。昭和歌謡や合唱では基本とされてきましたが、世代や地域によって使わない話し方も広がっています。

やり方

「んが」と続けて言い、「ん」で鼻が震えるのを確かめます。その「ん」をだんだん短くしていくと、頭だけ鼻に抜けたガが残ります。この音で「かがみ」「りんご」「ながれ」と言ってみて、二つめのガ行だけが変わっていれば正解です。歌のときは、画面に出る言葉のガ行を先に目で拾ってから歌い出します。

練習のしかた

5分で足ります。語中にガ行のある言葉を10個ほど、1語につき2回ずつ、鼻をつまんで言ってから離して言います。つまむと詰まるなら鼻に抜けています。曲で試すときは、いきなり全部直さず1番のAメロだけと決めます。しみ込むまでは何週間かかかるので、うまくいかない日があっても普通です。

やりがちなミス

語頭のガ行は鼻濁音にしません。「学校」「銀色」を鼻に抜くと、もごもごした発音に聞こえます。目安は、語の2文字目以降と助詞の「が」。ただし数を数えるガなど例外もあり、地域差も大きいところです。使わない歌い方が誤りというわけではなく、曲の色に合わないと感じたら無理に入れないでください。

解説動画: 鼻濁音(びだくおん)やってみよう!鼻にかかる「がぎぐげご」できる?/スピーチボイストレーニング / Zooming

鼻から抜けるガ行: 鼻濁音が起きるのはガ行とギャ行だけ。口からはっきり出す濁音に対して息が鼻へ抜けるぶん、響きが柔らかく聞こえる。表記はカ行に丸を付けた形だが、学校では習わないし変換でも出てこず、正式な日本語表記ではない。原稿に指定が来たことはない、と講師も言う。

「ン」を前に付けて出す: 出し方そのものは簡単で、ガ行の前に「ン」を入れるだけ。ただし口を閉じた「ン」ではなく、口を少し開き、舌の奥で喉元をふさいだまま鼻へ息を抜く「ンー」を鳴らしてからガ行へ移る。慣れたら「ン」を短くしていく。鼻が詰まっていると出せない。分かっていても会話の中では忘れがちだという。

語頭だけが濁音: 使い分けは音の位置で決まる。単語や文節の頭に来るガ行は濁音のままで、学校やゴリラがそれ。語の途中や終わりに来れば鼻濁音になり、雪景色のようにガ行が中にある語が当てはまる。助詞の「が」も鼻濁音なので、文中の「が」はほぼ鼻へ抜けることになる。

例外は三つある: 語中でも濁音のまま残るものが三つ。数字の五(25や15時30分)、同じ音を繰り返す語(グングン、ギリギリ、ゴロゴロ)、カタカナ語(エネルギーなど)。さらに例外の例外があって、カタカナ語でも前に「ン」が付くキング・リング・フィンガーは鼻濁音に戻る。

短い文で判定してみる: 「ゴリラとヤギがガタガタ騒ぐ」で試すと、語頭のゴは濁音、ヤギのギと助詞の「が」と騒ぐのグは鼻濁音、ガタガタは繰り返しなので濁音。もっとも西日本では使われなくなってきている音で、この先さらに古く聞こえるかもしれない、と締めくくっている。