喉を開く
響きと声色
喉の奥を広げて声を通しやすくする
どういう技術?
あくびをしかけたときの、喉の奥がふわっと広がる感じが「開いた」状態です。のど仏がわずかに下がり、声の通り道が太くなるため、同じ音でも硬さが取れて丸く聞こえます。逆に緊張したり高い音に力むと入り口が狭まり、細く詰まった音になります。歌の間じゅう保てるようになるまでは、数か月かかることもあります。
やり方
口を閉じたままあくびを始め、出かかったところで止めます。その形のまま口を開いて「ハー」と8拍吐き、続けて同じ形で「ハー」を歌います。のど仏に指を軽く当てておくと、高い音でぐっと上がるのが分かります。上がらずにいられる高さまでが、いま開けたまま歌える範囲です。
練習のしかた
1曲まるごとは保てないので、Aメロの4小節だけと決めて練習します。低めの曲を選び、歌う直前にあくびを1回はさむだけでも変わります。カラオケの部屋なら20分に1度、のど仏に指を当てて位置を確かめてください。目安は、1時間歌っても声が硬くならないこと。硬くなるなら、その日はキーを下げます。
やりがちなミス
開こうとしてのど仏を無理に押し下げると、こもった重い声になり、言葉も聞き取りにくくなります。ポップスではあくびの半分くらいの開きがちょうどよく、それ以上は不自然に響きます。歌ったあとにのどの奥がひりつく感覚が残るなら、開いたのではなく力んでいるサインです。痛みが数日続くようなら耳鼻咽喉科で見てもらってください。
解説動画: 「喉を開いて歌う方法」をボイストレーナーが徹底解説!/しらスタ【歌唱力向上委員会】
声帯が開くわけではない: 最初に潰すのが声帯が左右に離れるというイメージ。声帯が離れた状態は息が通るだけで音にならず、声が出ているときは必ず閉じている。この指示が声帯について言われるときは、離せという意味ではなく、強く押しつける使い方をやめて柔らかく触れさせるという意味になる。
喉仏を下げるという意味: 2つ目は喉頭の高さ。喉仏は唾を飲み込むと上がり、あくびをすると下がるので、自分で触れば動きが分かる。喉仏が上がりきった歌い方になっているときに少しだけ下げてほしいという意味で使われることがある。ただし下げすぎればそれも極端な声になる。
顎の開き方と軟口蓋: 3つ目は顎で、単に口を開けてほしいだけのこともある。顎はまっすぐ・前・後ろと下ろし方が何通りかあり、喉仏の高さとは別に動く。4つ目はのどちんこの奥のアーチ。軽くあくびをすると上がって明るくパキッとした音色になり、下げると暗い音色になる。どちらを指しているかは場合による。
舌を下げる・前に出す: 5つ目は舌の位置。奥を下げて空間を確保しろという意味のほかに、舌を前へせり出すという意味もある。「い」の母音で高い声が出しにくいのは後ろの空間が潰れるからで、舌を前へ持ってくると同じ「い」でも通り方が変わる、と実演で示す。
連動するからイメージで言う: 声帯・喉仏・顎・軟口蓋・舌は別々ではなく連動して動く。だから細かく個別に指示されても同時には実行できず、土管のような喉奥にゆで卵が入っているといったイメージに言い換えて、まとめて組み替えさせている。言われた側は何通りかの候補を持っておくと当てにいける。