2008年 リーマン・ショック
世界の暴落
年: 2008年 / 最大下落: 約57% / 回復まで: 約5年半
2008年リーマン・ショックは、安全とされた住宅ローンの証券化商品の価値が崩れ、大手投資銀行リーマン・ブラザーズが破産してS&P500が約57%下落した出来事です。米国株の時価総額は1年で約8兆ドル失われ、回復には約5年半かかり、格付けが高いことは安全の保証にならないと示しました。
何が起きたか
米国の住宅価格は2006年半ばから2009年半ばまでに約3割下がり、住宅ローンを束ねた証券化商品の価値が崩れました。大手投資銀行リーマン・ブラザーズは、短期の借り入れを更新できなくなり、2008年9月15日午前1時45分に破産を申請します。なぜ連邦準備制度がリーマンを救わなかったかは、権限が無かったとする当局者と、あったとするボール(ジョンズ・ホプキンス大学)の論文で見方が割れています。
どれくらい下がったか
S&P500は2007年10月9日の1,565.15から2009年3月9日の676.53まで、約57%下落しました。ブルンナーマイヤーの論文(2009年)によると、住宅ローンの焦げ付きで銀行が償却した損失は数千億ドルでしたが、米国株の時価総額は2007年10月から2008年10月までに約8兆ドル失われました。米国のGDPは約4.3%減り、失業率は5%から10%へ上がっています。
戻るまでにかかった時間
連邦準備制度は政策金利を2007年9月の5.25%から2008年12月に0〜0.25%へ下げ、同年11月には大規模な資産の買い入れも始めました。景気後退は2009年6月に終わりましたが、回復はゆるやかで失業率の高い状態が続き、追加の資産買い入れも重ねられました。S&P500が2007年の高値を上回ったのは2013年3月28日、約5年5か月後です。
ここから学べること
格付けが高いことは、安全の保証になりませんでした。当時の連邦準備制度理事会議長だったバーナンキは、2010年の証言で、投資家が格付けに頼りすぎ、中身の情報を得にくかったことを原因の一つに挙げています。CrashCourse(米国の教育動画)は、貸し手が売り先へ危険を移せると考えていた点も指摘します。自分で説明できない商品は持たないという原則の根拠がここにあります。
出典
- 公的機関・英語 Robert Rich(Federal Reserve History)(2013) The Great Recession
- 公的機関・英語 John Weinberg(Federal Reserve History)(2013) The Great Recession and Its Aftermath
- 公的機関・英語 Ben S. Bernanke(金融危機調査委員会での証言, Federal Reserve Board)(2010) Causes of the Recent Financial and Economic Crisis
- 公的機関・英語 Ben S. Bernanke(米国下院での証言, Federal Reserve Board)(2010) Lessons from the failure of Lehman Brothers
- 論文・英語 Laurence Ball(Johns Hopkins University, NBER Working Paper 22410)(2016) The Fed and Lehman Brothers: Introduction and Summary
- 論文・英語 Markus K. Brunnermeier(Journal of Economic Perspectives)(2009) Deciphering the Liquidity and Credit Crunch 2007–2008
- 資料・英語 Yardeni Research(元の数値は Standard & Poor's)(2024) Stock Market Historical Tables: Bull & Bear Markets
- 動画・英語 CrashCourse How it Happened - The 2008 Financial Crisis: Crash Course Economics #12
解説動画: 【アニメで解説!】リーマンショックとは?極限までわかりやすく!(リメイク版)/コアラ先生の時事ネタ祭り
一言でいうと何だったか: リーマン・ショックはバブル崩壊の一種。100年に一度の経済危機と言われ、今も経済の話で引き合いに出されるが、事の顛末を説明できる人は少ない——その前提から解説が始まる。
なぜ返せない人に貸したのか: 支えていたのは住宅価格の高騰。1,000万円で買った家が数年後に1,200万円になるのが当たり前だったので、返済能力のない人に貸しても、担保の住宅を回収すれば全額返ってくるという計算が成り立っていた。低所得者向けのローンが大量に貸し出される。
事態を深刻にしたもの: ローンを返済してもらう権利そのものが売買されたこと。1,000万円貸せば利子を含めて1,100万円を返してもらう権利が手に入り、それが商品として流通していく。誰がどのリスクを持っているのか分からなくなったことが、危機を世界に広げた。