偸梁換柱
共に戦う軍の主力を、陣替えのたびに抜く計。


絵: オトモシリーズ(画像生成で描いた絵)
計の順
第二十五計
読み
とうりょうかんちゅう
意味
共に戦う相手の陣から主力を抜き、崩れた所で取り込む計。解語は言う。陣を何度も変えさせ、強い部隊を抜き、自ら敗れるのを待って乗じる。計に付いた解説は、陣を支える精兵を梁と柱に喩える。解説が相手に置くのは、別の敵と共に戦う軍である。結びの「輪を曳く」は易に同じ句があり、解釈に幅がある。
名前のもとになった故事
計名は「梁を偸み柱を換う」と読む。四字は小説『紅楼夢』第九十七回に見える。賈宝玉は林黛玉を娶ると信じて式に臨むが、覆いを取ると花嫁は薛宝釵だった。王熙鳳が仕組んだ入れ替えで、作中の李紈が「偸梁換柱の計」と呼ぶ。計に付いた解説は故事を引かない。
見分け方
同盟を組める戦略ゲームやボードゲームで、味方から配置替えを何度も頼まれたら疑う。替えるたびに、主力の駒の居場所を確かめる。要の駒が前線から消えていれば、この形である。
よくある誤解
ひそかに物事の中身や性質をすり替えるたとえとして使われる(台湾の教育部『成語典』)。解語が言うのは、陣を何度も変えさせて主力を抜くことである。すり替わるのは品物の中身ではなく、陣を支える兵である。
計名と解語(原文と書き下し)
偸梁換柱。「頻更其陣、抽其勁旅、待其自敗、而後乘之、曳其輪也」(頻りに其の陣を更え、其の勁旅を抽き、其の自ら敗るるを待ちて、而る後に之に乗ず。其の輪を曳くなり)。
故事と成立の確かさ
維基文庫の頁は計名を「偷樑換柱」と書き、解説に人名も書名も無い。台湾の教育部『成語典』は「偷梁換柱」の書証に『紅楼夢』第九十七回を挙げ、同回に「偷梁換柱之計」の句がある。計名がこの小説から来たかは確かめられなかった。解語の結びと同じ「曳其輪」は、周易の既済卦の初九と未済卦の九二にある。解語が易から借りたか、どちらの卦からかは原文から言えない。
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