仮道伐虢
道を借りた軍が、帰りに貸し主も滅ぼす計。


絵: オトモシリーズ(画像生成で描いた絵)
計の順
第二十四計
読み
かどうばっかく
意味
二つの大国に挟まれた小国が一方に脅されているとき、もう一方が害は加えないと見せて入り込む、という計。計に付いた解説は、うまい言葉だけでは成り立たないと言う。小国が、片方に従わなければ両側から攻められる立場にあることが条件である。解語の後半は、読み方に幅がある。
名前のもとになった故事
計名は「道を仮りて虢を伐つ」と読む。『春秋左氏伝』の話である。晋は宝の馬と玉を虞の君に贈り、虢を攻める道を借りた。三年後、もう一度借りに来る。虞の臣の宮之奇は、虢が亡べば虞も続く、唇が無くなれば歯が寒い、と諫めたが聴かれなかった。晋は虢を滅ぼし、帰りに虞に泊まって、虞も滅ぼした。
見分け方
歴史ドラマや歴史小説で、小さな国が大軍に領内を通らせる場面に思い出す。見る所は、通った軍が帰りに立ち寄る場所と、隣の国が消えた後の地図である。隣が無くなれば、次に矢面に立つのは自分になる。
よくある誤解
道を借りることを名目に、貸した相手を滅ぼす計略、という意味で使われる(台湾の教育部『成語典』の「仮途滅虢」)。計に付いた解説は、言葉でだませる話ではないと言う。小国が挟まれて逃げ場の無い形勢が先にある、という話である。
計名と解語(原文と書き下し)
仮道伐虢。「兩大之間、敵脅以從、我假以勢。困、有言不信」(両大の間、敵脅かして以て従わしめば、我は仮るに勢いを以てす。困は、言有るも信ぜられず)。
故事と成立の確かさ
話は『春秋左氏伝』の僖公二年と五年にあり、解説の文は五年の条とほぼ同じである。左伝の言い方は「假道於虞以伐虢」で、「假道伐虢」の四字そのままは出ない。台湾の教育部『成語典』は「假途滅虢」の形で載せ、「假道伐虢」の項は無い。「假途滅虢」は『千字文』と『三国演義』第五十六回にも見える。解語の「我假以勢」は、勢いを借りるとも貸すとも読め、読みを定められなかった。結びは易の困の卦の辞である。
出典
- 資料・中国語 維基文庫 三十六計 混戰計
- 資料・中国語 維基文庫 周易 困
- 資料・中国語 維基文庫 春秋左氏傳 僖公(二年・五年)
- 資料・中国語 維基文庫(周興嗣) 千字文
- 資料・中国語 維基文庫 三國演義 第五十六回
- 公的機関・中国語 中華民國教育部(2020) 成語典 假途滅虢(修訂本參考資料)
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