樹上開花
借り物の飾りで、小さい兵を大きく見せる計。


絵: オトモシリーズ(画像生成で描いた絵)
計の順
第二十九計
読み
じゅじょうかいか
意味
小さい力を、他の陣立てを借りて大きく見せる計。解語は言う。他の陣立てを借りて勢いを張れば、力は小さくても勢いは大きい。結びは易の句で、雁の羽は儀式の飾りに使えると言う。計に付いた解説は、友軍の陣に精兵を置いて勢いを整え、敵を威圧することだと説く。
名前のもとになった故事
計名は「樹上に花を開く」と読む。名前のもとになった故事は、確かめられなかった。計に付いた解説も、人物や戦いの例を引かない。語るのは喩えである。花の無い樹でも、色絹を切って貼れば花があるように見える。よく見ない者は気づかない。花と樹が映え合って、全体が見事に整う、と言う。
見分け方
カードゲームや対戦ゲームで、相手の場が急に大きく見えたら数え直す。並んだ札を、相手自身の力で出た札と、借りた効果で強く見える札に分ける。借り物を除いた残りが、本当の強さである。
よくある誤解
台湾の教育部『成語典』は、元手を入れて利益を得るたとえとして載せる。解語が言うのは、他の陣立てを借りて、小さい力を大きく見せることである。飾りの花が指すのは、利益ではなく見かけの勢いである。
計名と解語(原文と書き下し)
樹上開花。「借局布勢、力小勢大。鴻漸於陸、其羽可用為儀也」(局を借りて勢を布けば、力小なるも勢大なり。鴻、陸に漸む、其の羽は用て儀と為すべきなり)。
故事と成立の確かさ
解説に人名も書名も無い。台湾の教育部『成語典』は「樹上開花」を、元手を入れて利を得るたとえとし、『官場現形記』第十七回と『孽海花』第二十二回を書証に挙げる。両回の本文でも金銭の話に使われ、兵法の意味ではない。計名のもとになった故事も、兵法の語としての古い用例も確かめられなかった。解語の後半は周易・漸卦の上九の爻辞とほぼ同じ句である。
出典
- 資料・中国語 維基文庫 三十六計 並戰計
- 公的機関・中国語 中華民國教育部(2020) 成語典 樹上開花(修訂本參考資料)
- 資料・中国語 維基文庫 官場現形記 第十七回
- 資料・中国語 維基文庫 孽海花 第二十二回
- 資料・中国語 維基文庫 周易 漸
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