反客為主
客として入り、少しずつ主人の座を取る計。


絵: オトモシリーズ(画像生成で描いた絵)
計の順
第三十計
読み
はんかくいしゅ
意味
客として迎えられた側が、少しずつ主導権を握る計。解語は言う。隙に乗じて足を入れ、相手の要を押さえ、少しずつ進む。計に付いた解説は五つの段を数える。客の座を得る、隙に乗じる、足を入れる、要を握る、成し遂げる。主になれば相手の軍を併せられる、と結ぶ。
名前のもとになった故事
計名は「客を反して主と為す」と読む。四字は小説『三国演義』第七十一回に出る。定軍山で法正が黄忠に、陣を少しずつ進めて夏侯淵を誘い出す手を説き、「反客為主の法」と呼ぶ。計に付いた解説の例は別である。李淵が手紙で李密を持ち上げた話と、劉邦が項羽に低く仕えた話を引く。
見分け方
囲碁や陣取りのボードゲームで、自分の陣地に入ってきた小さな石や駒が居座ったら注意する。見る所は数ではなく、その石が要の一点を押さえているかである。要を取られると、陣地の主が入れ替わる。
よくある誤解
客が主人になること、受け身から主導に回ることのたとえとして使われる(台湾の教育部『成語典』)。解語が言うのは、一度の逆転ではない。隙に足を入れ、要を押さえ、少しずつ進む。計に付いた解説は「漸進の陰謀」と呼ぶ。
計名と解語(原文と書き下し)
反客為主。「乘隙插足、扼其主機、漸之進也」(隙に乗じて足を挿み、其の主機を扼す。漸の進むなり)。
故事と成立の確かさ
李淵の返書は、維基文庫の注が挙げる『隋書』李密伝に見当たらず、『旧唐書』李密伝と『資治通鑑』巻一八四にある。両書は、へりくだって持ち上げ驕らせる狙いだったと書く。劉邦が鴻門で項羽に謝し、垓下で勝った筋は『史記』高祖本紀にある。『三国志』法正伝・黄忠伝は定軍山の戦いを記すが、「反客為主」の語は無い。演義の用法は陣の進め方で、解説の言う客分の話とは違う。
出典
- 資料・中国語 維基文庫 三十六計 並戰計
- 公的機関・中国語 中華民國教育部(2020) 成語典 反客為主(修訂本參考資料)
- 資料・中国語 維基文庫 三國演義 第七十一回 占對山黃忠逸待勞 據漢水趙雲寡勝眾
- 資料・中国語 維基文庫(陳壽) 三國志 卷三十六 蜀書 關張馬黃趙傳(黃忠傳)
- 資料・中国語 維基文庫(陳壽) 三國志 卷三十七 蜀書 龐統法正傳(法正傳)
- 資料・中国語 維基文庫 舊唐書 卷五十三 列傳第三(李密)
- 資料・中国語 維基文庫 資治通鑑 卷一百八十四 隋紀八
- 資料・中国語 維基文庫 隋書 卷七十(李密傳)
- 資料・中国語 維基文庫(司馬遷) 史記 卷八 高祖本紀
- 資料・中国語 維基文庫 周易 漸
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