仮痴不癲
知らないふりで、動く時を隠し通す計。


絵: オトモシリーズ(画像生成で描いた絵)
計の順
第二十七計
読み
かちふてん
意味
知らないふり、動かないふりで機を隠す計。解語は言う。知ったふりで軽々しく動くより、知らず何もしないふりをせよ。静かにして、きっかけを外に見せない。計に付いた解説は、愚かなふりは勝ち、狂ったふりは敗れると分ける。狂えば機が漏れ、周りも疑うからである。
名前のもとになった故事
計名は「痴を仮りて癲せず」と読む。計に付いた解説は、魏の司馬懿を例に引く。司馬懿は重い病を装い、訪ねてきた李勝の前で粥を胸にこぼし、地名を聞き違えてみせた。報告を受けた曹爽らは備えを解く。翌年の正月、曹爽らは捕らえられて誅された(『晋書』宣帝紀)。
見分け方
長距離走や自転車レースを観ていて、集団の中で動かない選手がいたら当てはめる。遅れているのか、力を残しているのかは、表情ではなく位置で見る。終盤まで先頭との差が開かなければ、力を残している側である。
よくある誤解
字面からは、愚か者のふりで相手を油断させる計と読める。解語が比べるのは、知らないふりと知ったふりである。計名は「癲せず」と、狂うことを退けている。計に付いた解説も、狂ったふりは機を漏らして敗れると言う。
計名と解語(原文と書き下し)
仮痴不癲。「寧偽作不知不為、不偽作假知妄為。靜不露機、雲雷屯也」(寧ろ偽りて知らず為さずと作すも、偽りて知を仮り妄りに為すと作さず。静かにして機を露わさず、雲雷の屯なり)。
故事と成立の確かさ
司馬懿の仮病は『三国志』曹爽伝と『晋書』宣帝紀にあり、女物の頭飾りを贈られて決戦を願い出た話も宣帝紀にある。「九伐」の語は『三国志』姜維伝に無い。狄青が百銭を投げた話は『宋史』狄青伝に見えず、『鉄囲山叢談』巻二と『智囊』巻十五にあり、解説の文は後者に近い。計名の四字は開いた書のどれにも無く、『成語典』にも項目が無い。解語の結びは周易・屯卦の象伝の句である。
出典
- 資料・中国語 維基文庫 三十六計 並戰計
- 資料・中国語 維基文庫 晉書 卷一 宣帝紀
- 資料・中国語 維基文庫(陳壽) 三國志 卷九 魏書 諸夏侯曹傳(曹爽傳)
- 資料・中国語 維基文庫(陳壽) 三國志 卷四十四 蜀書 蔣琬費禕姜維傳
- 資料・中国語 維基文庫 宋史 卷二百九十(狄青傳)
- 資料・中国語 維基文庫 鐵圍山叢談 卷二(四庫全書本)
- 資料・中国語 維基文庫 智囊 第十五卷 權奇
- 資料・中国語 維基文庫 十一家注孫子 形篇
- 資料・中国語 維基文庫 周易 屯
- 公的機関・中国語 中華民國教育部(2020) 成語典 檢索「假痴不癲」(該当なし)
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