抛磚引玉
似た物を見せて誘い、迷った相手を撃つ計。


絵: オトモシリーズ(画像生成で描いた絵)
計の順
第十七計
読み
ほうせんいんぎょく
意味
似た物を使って相手を誘い、判断が曇ったところを撃て、という計。「擊蒙」は易の蒙卦の句である。計に付いた解説は、誘う手を二つに分ける。旗や太鼓で誘うのは、紛らわしいだけの手である。弱い兵や食糧のような同じ種類の物で誘うほうが、相手の迷いを固めると説く。
名前のもとになった故事
計名は「磚を抛げて玉を引く」と読む。磚は煉瓦である。四字は禅の書『景徳伝灯録』巻十に出る。趙州の和尚が夜の集まりで問いを募ると、僧が一人出て礼拝した。和尚は、煉瓦を投げて玉を引くつもりが土の塊を引いた、と言った。計に付いた解説は、楚が薪取りをおとりにして絞を破った話を引く。
見分け方
ボードゲームやカードゲームで、相手が小さな得をただで取らせてくるときは、誘いを疑う。確かめる所は、取った後の自分の形である。取るために動かした駒や札が、守りから離れていないかを見る。
よくある誤解
ことわざとしては、拙い意見を先に出して人の優れた意見を引き出す、という謙遜の言葉である。解語に謙遜の意味は無い。似た物で相手を誘い、迷ったところを撃つと書く。引き出す相手は、仲間ではなく敵である。
計名と解語(原文と書き下し)
抛磚引玉。「類以誘之、擊蒙也」(類を以て之を誘い、蒙を撃つなり)。
故事と成立の確かさ
『景徳伝灯録』(四部叢刊本)巻十の趙州従諗の条は「抛塼引玉」と書き、和尚がそう言った理由は書かれていない。楚と絞の話は『左伝』桓公十二年にあり、左伝は「絞人獲三十人」、按語は「絞人獲利」と書く。按語が添える孫臏の竈の話は『史記』巻六十五にある。常建と趙嘏の詩の話は成語典が『談徴』に載ると紹介するが、『談徴』は開いていない。維基文庫は「擊蒙」を蹇卦と注するが、句があるのは蒙卦である。
出典
- 資料・中国語 維基文庫 三十六計 攻戰計
- 資料・中国語 維基文庫(釋道原) 景德傳燈錄(四部叢刊本)卷第十
- 資料・中国語 維基文庫 春秋左氏傳 桓公
- 資料・中国語 維基文庫(司馬遷) 史記 卷六十五 孫子呉起列傳
- 資料・中国語 維基文庫 周易 蒙
- 資料・中国語 維基文庫 周易 蹇
- 公的機関・中国語 中華民國教育部(2020) 成語典 拋磚引玉
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