借屍還魂
力を失って頼ってくる者を、借りて使う計。


絵: オトモシリーズ(画像生成で描いた絵)
計の順
第十四計
読み
しゃくしかんこん
意味
力のある者は、借りて思いどおりに使うことができない。借りて使えるのは、自力では立てない者である。だから力の無い者を借りて使え、という計。結びは易の蒙卦の句で、こちらが求めるのではなく、相手のほうが求めてくる形を言う。
名前のもとになった故事
計名は「屍を借りて魂を還す」と読む。四字は元の芝居『呂洞賓度鉄拐李岳』に出る。役人の岳寿が死んで閻魔の裁きを受け、仙人の呂洞賓に救われる。ところが体は妻が火葬していた。岳寿の魂は、死んで三日目の肉屋の息子の体を借りて生き返る。計に付いた解説は芝居に触れず、滅んだ国の子孫を立てる例を挙げる。
見分け方
歴史ドラマや戦略ゲームで、滅んだ家の子孫や古い旗印を担ぐ勢力が出てきたときに思い出す。見る所は、担がれた者ではない。兵と金を出し、進む先を決めている者である。
よくある誤解
ことわざとしては、消えたはずの物事が別の名前や姿で戻ってくることを指す。解語が言うのは、戻ってくる側ではなく、借りる側の話である。力のある者は借りられず、自力で立てない者なら借りて使える、という相手の選び方を説く。
計名と解語(原文と書き下し)
借屍還魂。「有用者、不可借;不能用者、求借。借不能用者而用之、匪我求童蒙、童蒙求我」(用有る者は、借るべからず。用うる能わざる者は、借らんことを求む。用うる能わざる者を借りて之を用う。我、童蒙に求むるに匪ず、童蒙、我に求む)。
故事と成立の確かさ
按語は故事を挙げず、「換代之際、紛立亡國之後者」と、王朝の替わり目に滅んだ国の子孫を立てる例を書く。「借屍還魂」の四字は元の雑劇『呂洞賓度鐵拐李岳』にくり返し出て、題目も「韓魏公斷借屍還魂」である。芝居の筋は作り話で、史実ではない。成語典は第四折を用例に引くが、四字のいちばん古い用例かは確かめていない。
出典
- 資料・中国語 維基文庫 三十六計 攻戰計
- 資料・中国語 維基文庫(岳伯川) 呂洞賓度鐵拐李岳
- 資料・中国語 維基文庫 周易 蒙
- 公的機関・中国語 中華民國教育部(2020) 成語典 借屍還魂(修訂本參考資料)
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