攻略 | オトモストラテジー

将棋・囲碁・ボードゲームで、型を確かめる。

図鑑で読んだ型を、将棋・囲碁・チェスやボードゲームで試すときは、三つを順に決める。はじめに、試す型を一つ選び、成り立つ条件を書き出す。次に、条件がそろった局面を盤の上に並べる。最後に、型が崩れる手を、相手の側を持って指してみる。条件と崩れ方の両方を盤で見ておくと、実戦で同じ形が出たときに気づける。

解きかたの型は、終わりが見える局面で試しやすい。後ろ向き帰納法は、最後の手番の最善手を決め、一手ずつ前へ戻る手順である。手番が順に回り、盤の上がすべて見えている有限のゲームは、この手順で解ける形に入る(スタンフォード哲学百科事典「Game Theory」)。詰将棋やチェスの詰めの問題は、玉が詰んだ最後の形から逆にたどると、手順が見える。序盤のように先が長い局面では、最後までたどりきれない。試すのは終盤の数手からにする。

後ろ向き帰納法
後ろ向き帰納法絵: オトモシリーズ

欺きと誘いの型は、誘う側と誘われる側の両方を指して確かめる。退避誘引は、先に大きく退いて見せ、深追いした相手を、整えておいた場所で迎え撃つ型である。盤の上では、駒をわざと引き、相手の駒を自陣の奥へ呼び込む局面がこれに近い。条件は、退く側が形を崩さないことと、追う側が止まらずに入ってくることの二つである。相手の側を持つと、深追いをやめて形を立て直す手が、型を崩す手だと分かる。三十六計の抛磚引玉も、小さな得をただで取らせる誘いとして盤に現れる。取った後に、取るために動かした駒が守りから離れていないかを見る。

退避誘引
退避誘引絵: オトモシリーズ
抛磚引玉
抛磚引玉絵: オトモシリーズ

型は、形のまとまりで覚える。チェスの詰みの問題を、初心者・中級者・熟達者に実際の盤で解かせ、視線を測った研究がある(Küchelmann ほか 2024)。熟達者は、駒のある所と駒の間の空いた升を多く見て、盤全体を見る回数は少なかった。詰みの形をまとまりとして覚えていることが、見方を助けていると考えられている。練習の量では、一人で局面を調べる時間が効く。大会に出るチェスの選手を二つの集団で調べると、一人での真剣な学習の時間が、レーティングをもっとも強く予測した(Charness ほか 2005)。盤の上で型を試す時間は、この一人の学習に当たる。

見慣れた形は、もっと良い手を隠すこともある。チェスの熟達者は、一つの解を見つけた後、もっと良い解を探していると話しながら、視線は最初の解に関わる所へ戻り続けた(Bilalić ほか 2008)。型が見えた局面ほど、ほかの候補手を一つ書き出してから指す。欺きと誘いの型が効くのも、見慣れた得に目が向く所である。

やりがちな失敗は三つある。型を覚えて、成り立つ条件を書き出さない。自分の側だけを指して、崩れる手を試さない。見えた型に飛びついて、ほかの候補手を見ない。三つとも、相手の側を持って同じ局面を指し直せば気づける。

出典

  1. 資料・英語 Stanford Encyclopedia of Philosophy Game Theory
  2. 論文・英語 Thomas Küchelmann, Konstantinos Velentzas, Kai Essig, Thomas Schack, Frontiers in Psychology 15: 1294424(2024) Expertise-dependent visuocognitive performance of chess players in mating tasks: evidence from eye movements during task processing
  3. 論文・英語 Neil Charness, Michael Tuffiash, Ralf Krampe, Eyal Reingold, Ekaterina Vasyukova, Applied Cognitive Psychology 19(2): 151-165(2005) The role of deliberate practice in chess expertise
  4. 論文・英語 Merim Bilalić, Peter McLeod, Fernand Gobet, Cognition 108(3): 652-661(2008) Why good thoughts block better ones: The mechanism of the pernicious Einstellung (set) effect