打草驚蛇
動く前に探りを入れ、隠れた相手を確かめる計。


絵: オトモシリーズ(画像生成で描いた絵)
計の順
第十三計
読み
だそうきょうだ
意味
疑わしいときは探りを入れて実情を確かめ、よく見てから動け、という計。解語の後半は「復は陰の媒なり」と続くが、「復」の字の解釈には幅がある。計に付いた解説は、敵の力が見えないうちは軽々しく進むなと言う。兵書の「念入りに繰り返し捜せ」という句も引く。
名前のもとになった故事
計名は「草を打って蛇を驚かす」と読む。もとの話は宋の『南唐近事』にある。当塗の県令の王魯は、蓄財に熱心だった。民が連名で、県の役人の収賄を訴え出た。王魯は裁きの文に、お前は草を打っただけだが、私はもう蛇のように驚いた、と書いた。計に付いた解説は、王魯の話を引いていない。
見分け方
ボクシングや剣道の立ち上がりに、当てる気の薄い軽い手が続くときは、探りと見てよい。観る所は、打った側ではなく、受けた側の反応である。受けた側が見せた癖や構えの変化が、あとの攻めの材料になる。
よくある誤解
ことわざとしては、不用意に動いて相手に用心させてしまう失敗を指す。解語が言うのは逆で、動く前にわざと探りを入れ、隠れた相手の様子を確かめることである。もとの王魯の話は、他人への訴えで自分が震え上がる話で、どちらとも違う。
計名と解語(原文と書き下し)
打草驚蛇。「疑以叩實、察而后動;復者、陰之媒也」(疑わば以て実を叩き、察して後に動く。復は、陰の媒なり)。
故事と成立の確かさ
『南唐近事』巻二の文は「汝雖打草、吾已蛇驚」で、「打草驚蛇」の四字の形ではない。成語典も出どころを「語或本」と書くにとどめる。按語が「兵書云」として引く句は『孫子』行軍篇に当たるが、十一家注本は「軍行」「覆索」「伏姦之所處」と書き、按語の「軍旁」「復索」「伏奸所藏」と字が違う。王魯の話が実際にあったことかは確かめられない。
出典
- 資料・中国語 維基文庫 三十六計 攻戰計
- 資料・中国語 維基文庫(鄭文寶) 南唐近事 卷二
- 資料・中国語 維基文庫 十一家注孫子 行軍篇
- 公的機関・中国語 中華民國教育部(2020) 成語典 打草驚蛇
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