調虎離山
有利な場所にいる敵は、誘い出してから戦う計。


絵: オトモシリーズ(画像生成で描いた絵)
計の順
第十五計
読み
ちょうこりざん
意味
天の条件が敵を苦しめるのを待ち、人の働きで敵を誘い出せ、という計。計に付いた解説は、敵が地の利を得ているなら、同じ場所を争うなと言う。結びの「往蹇來連」は易の蹇卦の句で、進めば行き悩むという意味を含む。計との結び方は、解釈に幅がある。
名前のもとになった故事
計名は「虎を調して山を離れしむ」と読む。四字は小説『西遊記』第五十三回に出る。孫悟空が泉を守る仙人を外へ誘い出して戦い、その間に沙悟浄が水を汲む。計に付いた解説が引くのは、後漢の虞詡の話である。虞詡は援軍を待つと言いふらし、敵の羌が近くの県へ散った隙に昼夜進んだ。
見分け方
サッカーやバスケットボールを観ていて、ゴール前を固める選手が外へ引き出されたときは、この形を疑う。目で追うのは、引き出した選手ではなく、空いた場所へ走り込む別の選手である。
よくある誤解
ことわざとしては、相手を持ち場からおびき出し、その隙に事を運ぶことを指す。解語は誘い出しの前に、天を待って敵を苦しめると書く。計に付いた解説も、天の時と人の働きの両方が要ると説く。
計名と解語(原文と書き下し)
調虎離山。「待天以困之、用人以誘之、往蹇來連」(天を待ちて以て之を困しめ、人を用いて以て之を誘う。往けば蹇み、来れば連なる)。
故事と成立の確かさ
『後漢書』巻五十八の虞詡伝に按語とほぼ同じ筋があるが、「調虎離山」の四字は出ない。按語は「漢末」と書くが、後漢書では鄧太后が虞詡を武都太守にした時の話である。按語の「下政攻城」は、孫子謀攻篇の本文では「其下攻城」で、「下政」は曹操の注に見える語である。『西遊記』は小説で、四字のいちばん古い用例かは確かめていない。
出典
- 資料・中国語 維基文庫 三十六計 攻戰計
- 資料・中国語 維基文庫 後漢書 卷五十八 虞傅蓋臧列傳(虞詡傳)
- 資料・中国語 維基文庫 西遊記 第五十三回
- 資料・中国語 維基文庫 十一家注孫子 謀攻篇
- 資料・中国語 維基文庫 周易 蹇
- 公的機関・中国語 中華民國教育部(2020) 成語典 調虎離山
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