欲擒姑縦
追い詰めず、付いていって力が尽きるのを待つ計。


絵: オトモシリーズ(画像生成で描いた絵)
計の順
第十六計
読み
よくきんこしょう
意味
追い詰めれば相手は向き直って戦い、走らせておけば勢いは弱まる。だから離れずに付いていき、急には迫るな、という計。気力と戦う気が尽き、散り散りになったところを捕らえれば、血を流さずに済む。結びは易の需卦の句で、需は「待つ」ことである。
名前のもとになった故事
計名は「擒えんと欲して姑く縦つ」と読む。計に付いた解説が挙げるのは、諸葛亮が孟獲を七度放して七度捕らえた話である。話は『三国志』の本文に無く、注が引く『漢晋春秋』に見える。解説は、七度の放免は土地を広げるためで兵法ではないと断る。戦では捕らえた者を放さない、と結ぶ。
見分け方
マラソンや自転車レースで、追う側が先頭のすぐ後ろに付いたまま前へ出ないときは、この形である。見る所は二つある。逃げる側の足が鈍る時機と、追う側が終盤まで力を残しているかである。
よくある誤解
ことわざとしては、捕らえるためにわざと放してやることを指す。計に付いた解説は、「縦」は放すことではないと断る。離れずに付いていき、締めつけを少し緩めるだけだと言う。
計名と解語(原文と書き下し)
欲擒姑縦。「逼則反兵;走則減勢。緊隨勿迫。累其氣力、消其鬥志、散而后擒、兵不血刃。需、有孚、光」(逼れば則ち兵を反し、走らしむれば則ち勢いを減ず。緊く随いて迫る勿かれ。其の気力を累れしめ、其の闘志を消し、散じて後に擒うれば、兵、刃に血ぬらず。需は、孚有りて、光いなり)。
故事と成立の確かさ
『三国志』諸葛亮伝の本文は「亮率眾南征、其秋悉平」と書くだけで、孟獲の名は出ない。「七縱七禽」は裴松之の注が引く『漢晋春秋』の句で、『華陽国志』は「七虜、七赦」と書く。『三国演義』第九十回の藤甲を焼く筋は小説である。七度が事実かは確かめられない。按語の「窮寇勿追」は、十一家注本の孫子軍争篇では「窮宼勿迫」である。計名は維基文庫では「欲擒故縱」で、成語典は「欲擒姑縱」が元の形だとする。
出典
- 資料・中国語 維基文庫 三十六計 攻戰計
- 資料・中国語 維基文庫(陳壽) 三國志 卷三十五 蜀書 諸葛亮傳(裴松之注引『漢晉春秋』)
- 資料・中国語 維基文庫(常璩) 華陽國志 卷四 南中志
- 資料・中国語 維基文庫 三國演義 第九十回 驅巨獸六破蠻兵 燒藤甲七擒孟獲
- 資料・中国語 維基文庫 十一家注孫子 軍爭篇
- 資料・中国語 維基文庫 周易 需
- 公的機関・中国語 中華民國教育部(2020) 成語典 欲擒故縱
ほかのオトモ
同じ作りの図鑑が全11本あります。内容の近いものから並べています。
オトモイングリッシュ
つづりの読み方と、音の作り方
つづり34・音30・つながる音16
オトモマネー
投資のしくみ・指標・税と制度と、副業の種類・申告・会社のルール・落とし穴の図鑑
インベスト179・サイド171
シリーズ全11本を見る