遠交近攻
遠くの国と結び、近くの国から攻める計。


絵: オトモシリーズ(画像生成で描いた絵)
計の順
第二十三計
読み
えんこうきんこう
意味
攻めるなら近くから、結ぶなら遠くと、という計。解語は、地の形と勢いに阻まれるとき、利は近くから取り、害は遠さで隔てよと言う。計に付いた解説の理屈はこうである。遠い国は攻められないが、利で結べる。近い国と結べば、かえって足もとで変事が起きる。
名前のもとになった故事
計名は「遠く交わり近く攻む」と読む。戦国時代に、范睢が秦の昭王に説いた言葉である。秦は韓と魏を越えて、遠い斉を攻めていた。范睢は、遠くで勝っても土地は保てないと諫め、遠く交わって近く攻めるに及ばないと言う。一寸を得れば王の一寸になる、と続けた。昭王は従い、魏の懐と邢丘を取った(『史記』)。
見分け方
陣取りのボードゲームを三人以上で遊ぶときに思い出す。隣を攻めている人が、盤の反対側の人と手を組んでいないかを見る。自分が離れた相手から誘われたら、誘った人の隣に誰がいるかを先に確かめる。
よくある誤解
遠い国と親しみ、隣の国を攻める外交の手、という意味で使われる(台湾の教育部『成語典』)。もとの范睢の言葉は、遠征をやめよという諫めである。遠くで勝っても土地は残らず、近くで得た一寸は自分の一寸になる、という損得の話だった。
計名と解語(原文と書き下し)
遠交近攻。「形禁勢格、利從近取、害以遠隔。上火下澤」(形禁ぜられ勢い格まれば、利は近きより取り、害は遠きを以て隔つ。上は火、下は沢なり)。
故事と成立の確かさ
范睢の言葉は『史記』范睢蔡沢列伝と『戦国策』秦策三にあり、どちらも「遠交而近攻」と「而」を挟む。四字の形は、開いた頁では『戦国策』に付いた鮑彪の注に見える。范睢は同じ席で、近い魏にはまず礼を尽くし、だめなら地を割き、それでもだめなら伐てと説く。近い国をすぐ攻めよという話ではない。解説は「范睢之謀」と書くだけで書名を挙げない。解語の結びは易の睽の卦の象伝の句である。
出典
- 資料・中国語 維基文庫 三十六計 混戰計
- 資料・中国語 維基文庫 周易 睽
- 資料・中国語 維基文庫(司馬遷) 史記 卷七十九 范睢蔡澤列傳
- 資料・中国語 維基文庫 戰國策(士禮居叢書本)卷五 秦三(范睢至秦)
- 公的機関・中国語 中華民國教育部(2020) 成語典 遠交近攻(修訂本參考資料)
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