三十六計図鑑 | オトモストラテジー

陣の形だけを残して、中身を別の所へ移す計。

金蝉脱殻

絵: オトモシリーズ(画像生成で描いた絵)

計の順

第二十一計

読み

きんせんだっかく

意味

陣の見た目と勢いをそのまま残し、中身だけを動かせ、という計。解語は、味方は疑わず、敵は動かない、と言う。計に付いた解説は、ただ逃げる計ではないと断る。旗と太鼓を元の陣に残して精鋭を抜き、別の敵を討って戻る「分身」の法だとする。

名前のもとになった故事

計名は「金蝉、殻を脱ぐ」と読む。蝉が殻を残して飛び去る姿である。元代の語り物『三国志平話』では、呂布に追われた孫堅が、上着と鎧を木に掛けて逃げる。本文は「金蝉蛻殻の計」と呼ぶ。計に付いた解説が挙げるのは別の二つで、諸葛亮の死後の蜀軍の退却と、南朝宋の檀道済の退却である。

見分け方

手品を観ていて、箱や布が舞台に残り、演者がそちらを長く見せるときに思い出す。見る所は、残された形ではなく、中身を最後に確かめた時点である。対戦ゲームでも、同じ並びのまま動かない陣は、偵察を出して確かめる。

よくある誤解

ことわざとしては、見せかけを残して上手に抜け出すことを指す(台湾の教育部『成語典』)。計に付いた解説は、ただ逃げる計ではないと言い、精鋭を抜いて別の陣を襲う法とする。ただ、解説が挙げる二つの例は、どちらも退却である。

出典

  1. 資料・中国語 維基文庫 三十六計 混戰計
  2. 資料・中国語 維基文庫 周易 蠱
  3. 資料・中国語 維基文庫 全相平話 三國志平話卷上
  4. 資料・中国語 維基文庫(陳壽) 三國志 卷四十六 吳書 孫破虜討逆傳(孫堅)
  5. 資料・中国語 維基文庫(陳壽) 三國志 卷三十五 蜀書五 諸葛亮傳(裴松之注引『漢晉春秋』)
  6. 資料・中国語 維基文庫(李延壽) 南史 卷十五(檀道濟傳)
  7. 資料・中国語 維基文庫(沈約) 宋書 卷四十三(檀道濟傳)
  8. 公的機関・中国語 中華民國教育部(2020) 成語典 金蟬脫殼