関門捉賊
小さな敵は、逃げ道をふさいで囲む計。


絵: オトモシリーズ(画像生成で描いた絵)
計の順
第二十二計
読み
かんもんそくぞく
意味
数の少ない敵は、追い回さずに、逃げ道を断って囲め、という計。解語は易の句を借り、進んで行くのはよくないと添える。計に付いた解説は理由を挙げる。逃げた敵は、よその手に渡る。追えば誘いに掛かる恐れがある。囲めないなら放してよい、とも言う。
名前のもとになった故事
計名は「門を関ざして賊を捉う」と読む。戸を閉めてから盗人を捕まえる姿である。もとになった故事は、確かめた範囲では見当たらない。計に付いた解説は兵書『呉子』を引く。命を捨てた賊が一人野に伏せば、追う千人がみな怯えて見回す、という句である。清代の小説『施公案』には、家に忍び込んだ盗人に「関門捉賊の計」を使う場面がある。
見分け方
将棋や囲碁の終盤で、相手が駒や石を追わずに、逃げる先へ先に一手置いてきたら、この形である。見る所は、いま当たっている所ではなく、出口の数だ。追われている側なら、出口が残っているうちに外へ出る。
よくある誤解
字面からは、囲んで一人も逃がすな、という強い言葉に読める。解語が言うのは「小さな敵」に限った話である。計に付いた解説も、逃げた敵は追うなと言い、囲めなければ放してよいと結ぶ。必ず捕らえよという計ではない。
計名と解語(原文と書き下し)
関門捉賊。「小敵困之。剝、不利有攸往」(小敵は之を困しむ。剝は、往く攸有るに利あらず)。
故事と成立の確かさ
『呉子』励士篇の句は、手柄の無い兵五万でも死を覚悟すれば敵し難い、と呉起が武侯に説く中にある。追う側の危うさの話に用いたのは解説である。台湾の教育部『成語典』を引いたが「關門捉賊」の項は無かった。四字は清代の小説『施公案』第四百十回と『野叟曝言』第三十六回に見えるが、初出も、三十六計との前後も確かめられなかった。解語の後半は易の剝の卦の辞である。
出典
- 資料・中国語 維基文庫 三十六計 混戰計
- 資料・中国語 維基文庫 周易 剝
- 資料・中国語 維基文庫(吳起) 吳子(勵士第六)
- 資料・中国語 維基文庫 施公案 第四一〇回
- 資料・中国語 維基文庫 野叟曝言 第三十六回
- 公的機関・中国語 中華民國教育部(2020) 成語典 成語檢索「關門捉賊」(正文・附錄とも0則)
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