三略
武経七書(孫子のほか)
成立: 成立年代は確かめられない(仮託は秦末)
三略は、秦末の隠者・黄石公が張良に授けたという伝説とともに伝わるが、その逸話自体に疑いが向けられている、上中下三巻の書。
いつ・誰が書いたとされるか
『三略』は、秦の末に隠れ住んだという黄石公が、漢の建国を助けた功臣・張良に授けたという伝説とともに伝わる書物である。原文を収める中国語サイト・維基文庫の注は「圯橋授受の書に非ざること明らかに甚だし」(橋の上で授けられた書ではないことは、はっきりしている)と述べ、後の時代の人物による仮託である可能性を指摘している。
どんな構成で、何が書いてあるか
『三略』は上略・中略・下略の三巻からなる。上略は主将のあり方や賞罰について、中略は三皇・五帝・王・覇者という古代の統治者それぞれのあり方の違いについて、下略は道徳・仁義・礼による国家の安定について説く。全体を通じて、統治者の心得を説く書としての色合いが濃い。巻が進むにつれて、軍事から統治全般へと視野が広がっていく構成でもある。
中心になる考え
『三略』の中心にあるのは、将のふるまいと人心の掌握を、個々の戦術よりも上位に置く考え方である。道徳や仁義といった統治の原理と、軍事とを結びつけて説く点に特徴があり、武経七書の中でも統治論の色合いが濃い一冊とされる。張良に授けられたという伝説も、統治と軍事を併せ説くこの性格と結びつけて語られてきた。
作者と成立でわかっていないこと
黄石公が張良に書物を授けたという逸話が史実かどうかは確かめられない。維基文庫の注も、後の時代の人物による仮託の可能性が高いと述べている。実際にこの書がいつ成立したのかについても定説はなく、確かめられない。橋の上で老人から書物を授かるという場面も、後世の伝説の中で作られたものである可能性がある。
原文をどこで読めるか
上略・中略・下略の原文は維基文庫で読める。