緑を見る休憩
場所と音
窓の外の緑や空を、休憩のあいだ数十秒だけ眺める
どんな技?
休憩のあいだ、窓の外の緑や空へ数十秒だけ目を向けます。席を立てないときでも、遠くを見るだけなので成立します。実験で使われたのは40秒の眺めですが、これは効く時間の処方ではなく一本の実験の条件です。窓を見ながら画面も見るでは休憩になりません。休憩ごとに窓へ目を向ける、という形にしておくのが無理のないところです。
なぜ効くのか
同じ作業を続けると見落としが増える話は単調な作業は早めに切るにあり、ここでは休憩の中身の置き方を見ます。自然の眺めが注意を回復させるという説明は立てられていますが、課題によって出たり出なかったりです。回復のしくみが確かめられたわけではなく、単調な課題での見落としが減った報告があるという段です。遠くへ目を向けること自体が休みになっているのか、緑であることが要るのかも切り分けられていません。
やり方
短い休憩をはさむで作った切れ目に、窓へ目を向ける動作を足します。時間は数十秒から一分で、スマホを見る代わりに置く形が続けやすいです。窓が無い場所では外へ出るか、出られないなら効き目は分からないものとして置きます。戻ってからの見落としの増え方を、スマホを見た日と比べておくと見当がつきます。窓が近い席を選べるなら、そちらを取るだけでも回数が増えます。
はまりどころ
効いたと報告されているのは単調な課題の見落としで、理解や記憶が良くなったという話ではありません。メタ分析を含むレビューの段では、注意の回復は課題によってばらつき、一貫していません。眺めが気持ちよかったかどうかと、注意が戻ったかどうかは別の測り方です。屋外へ出る休憩と窓から眺めるだけの休憩を同じものとして読むこともできず、写真や動画の緑でも同じかは決着していません。
確かめられ方
Lee らが2015年に行った実験では、40秒の緑化屋上の眺めで単調な課題の見落としが減りました。対象は大学生150人で、測られたのはその場の課題成績です。一方で Ohly らが2016年、Stevenson らが2018年に出した系統的レビューでは、課題によってばらつき、指向的注意については一貫していません。
解説動画(海外・英語): Attention restoration theory/shannon barlow
注意は疲れる: 動画は、仕事でも大学でも長く注意を向け続けるのは難しいという疲れの話から入ります。ここでの注意は、焦点を当てるかを選ぶ働きのこと。そのうえで、注意を四つの状態に分けて示します。意識して向ける注意、努力の要らない注意、向け続けて出てくる疲れ、そして戻った注意の四つです。
自然で戻す筋道: では自然がどう関わるのか。名前のとおりこの理論は、自然の回復させる働きを使って先の疲れを乗り越えるという立て方です。動画は、競合する刺激を締め出す働きが疲れてきたとき、自然と関わることでその働きを立て直せると説明します。
回復に要る条件: ただし、そこにいれば戻るというものではなく、四つの性質がそろって初めて役に立つと続きます。その場に浸れること、疲れの元になった日常から離れていること、自然の側が努力なしに注意を引きそのあいだ注意そのものが休めること、そして自分がそこに居たいと思えていること。職場を出て公園を歩く例が挙がります。
支えになる研究: どこまで確かなのかと動画自身が問い、支えになる研究を二つ挙げます。校正の成績を原野への休暇・都市への休暇・休暇なしの三群で比べたところ、前後で伸びたのは原野の群だけでした。注意の低下を訴えることが多い乳がん手術後の回復期でも、庭仕事などに関わった側が戻りを報告したと述べます。
暮らしでの形: 結びは暮らしへの落とし込みです。試験のときは窓の近くに座る、昼休みは休憩室ではなく公園へ、家に自然の写真を飾る、待ち受けを自然の景色にする、毎日自然の中を歩く、休暇は都市より山や海を選ぶ。短い休憩をはさむ切れ目に窓の外を入れるのは、この並びのいちばん手前にあたります。