週末の寝だめ

睡眠

平日に削った分を土日にまとめて返しても、元には戻らない

どんな技?

平日に削った眠りを、土日にまとめて返そうとするやり方です。まず土日に何時間眠れているかを実際に書き出し、平日の不足と引き算します。実験で余分に眠れたのは週末の2日で合わせて1時間ほどでした。眠れる量には上限があるので、返済の計画としては小さくなります。土日を回復日として当てにしている週があるなら、そこを数えます。

なぜ効くのか

眠りの借りは、時間の足し引きだけで消えるものではありません。体内時計は起きる時刻と朝の光で合っていくので、休日の遅寝遅起きは針を後ろへずらす方へ働きます。すると週明けの朝は時差のある状態から始まり、朝の光を浴びる手がかりも遅れます。土日で眠気が軽く感じられても、時計の位置は戻っていません。眠気が軽くなることと、体が元へ戻ることは分けて見ます。

やり方

土日の起床を平日との差1時間以内に収め、それで足りない分は昼のうちに回します。眠気が強い日は昼寝を短く挟み、夜は就寝を15分から30分前へ動かします。土日に長く眠らないと立て直せない週が続くようなら、平日の枠そのものを組み替える合図です。返す作戦は補いにとどめ、昼に返すのは15時までにして、夜の側へずらしません。

はまりどころ

確かめられたのは若く健康な36人の13日間という短い実験なので、これで健康の話を大きくは語れません。眠気がどこまで戻るかは測られていないので、眠気まで元に戻るとは読み替えないことです。戻らなかったのは代謝の指標と体内時計の位置でした。平日を睡眠時間を削らない側へ動かさないと、週末の使い方だけでは形が変わりません。

確かめられ方

Depner ら 2019 は健康な若年成人36人を、毎晩9時間・毎晩5時間・平日5時間で週末は好きなだけ、の3群に分けて13日追跡しました。週末群が余分に眠れたのは2日で合計およそ1.1時間で、インスリン感受性の低下は防げていません。週明けには体内時計が後ろへずれていました。確かめた期間は13日だけで、長く続けたときのことは分かっていません。

解説動画(海外・英語): How to recover sleep lost — with sleep specialist Stephanie Romiszewski/Sleepyhead Program

時間で返す発想: 動画は睡眠の専門家が、眠りの借りは返せるのか、と問うところから始まります。大学で六年学び、研究室で光や宇宙飛行士の睡眠を扱い、多くの患者と向き合ってきた中でたびたび出てくる話題がこの借りだと言います。人はふつう4時間足りなければ4時間返すという、目には目をの引き算で考えたがる。動画はまず、そこが単純ではないと釘を刺します。

戻らない分がある: 単純でない理由の一つ目として、眠らなかったことで失ったものにはもう取り返せない部分があると述べます。後からどれだけ長く眠っても、そこは埋め合わせがきかないままだという言い方で、足りない時間を足せば元に戻るという見方をここで外します。返済という言葉の手ざわりが、この一言でまず一段削られます。

脳は段階で補う: 二つ目は脳の側の働きです。動画は、脳はとても賢く、どの睡眠段階が足りていないかを見分けると述べます。だから失った分と同じ時間を眠り直す必要はないことがあり、増えるのは不足した段階の量のほうで、眠る長さを大きく伸ばすのではない。時計の上で数える返済と、体が実際に補うやり方はずれている、という筋になります。

常用するとずれる: 三つ目が使いすぎです。夜に足りていない気がして、早寝や朝の寝坊、昼寝でふだんの睡眠の枠の外へ広げ、返済の道具として使い続ける。それを長く重ねると、本来の睡眠と覚醒の周期から同期が外れていくと言います。脳は迷って別のパターンを作り、それが不眠として現れる形をよく見る、と動画は述べます。

土日頼みの見直し: 結びは、眠りの借りははじめに思うほど単純ではない、の一言です。土日にまとめて返す形も、足りない時間の引き算としてではなく、周期を崩さずに済むかの側から見ることになります。返す作戦を常のやり方にしてしまうと逆へ働くというのが動画の警告で、当てにする週が続くなら起きる時間をそろえるところから組み直す読み方ができます。