起きる時間をそろえる

睡眠

寝る時刻より、毎日同じ時刻に起きる方をそろえる

どんな技?

そろえる先を、就寝ではなく起床に置きます。平日も休日も同じ時刻に目覚ましを鳴らし、床につく時刻は眠くなったときに任せます。休日に遅くまで寝てしまう幅を小さくするところが、実際に手を入れる場所になります。記録の対象も眠った長さではなく、起きる時刻のばらつきにします。そろえるのは1つの時刻だけなので、決めるのは一度で済みます。

なぜ効くのか

床につく時刻は眠気が来るのを待つしかなく、自分の意志では動かしにくいところがあります。いっぽう起床は目覚ましと朝の明るさで動かせるので、手がかりが確かな側から先にそろえる理屈になります。規則性と成績のつながりが観察されている裏には、体内時計の遅れがあるらしいと見られています。ただしそろえた結果どうなるかは、実験で比べられていません。

やり方

起床時刻をひとつ決め、平日も休日もずれ1時間以内に収めます。休日も同じ時刻に起きて朝の光を浴びるまでを続け、足りない眠りは昼に短く寝て返します。まずは2週間、起きた時刻と日中の眠気を記録して幅を見ます。夜は眠くなってから床に入り、寝つけない時間を延ばさないようにします。眠れなかった日も起きる時刻は動かしません。

はまりどころ

土台にあるのは相関の観察なので、そろえれば成績が上がると因果では読めません。起床時刻をそろえる手だけを取り出して測った研究も見つかりません。早寝しようと眠くないのに床につくのは逆向きで、寝つけない時間が延びるだけになります。朝型と夜型の差もあるため、同じ時刻を人に当てはめることもできません。眠気が強い日は昼寝で補い、夜の時刻はいじりません。

確かめられ方

Phillips ら 2017 は大学生61人を30日追跡し、睡眠の規則性の指標と成績にr=0.37の相関を見ています。不規則な群は総睡眠時間が短いわけではないのに、メラトニンの分泌開始が約2.6時間遅れていました。介入して比べた研究ではないので、対照群とランダム化の条件は満たしていません。確かめられたのは学生の1か月分で、働きながら学ぶ人では調べられていません。

解説動画(海外・英語): Can you change your sleep schedule?/TED-Ed

二つの極のあいだ: 日の出とともに跳ね起き、夕暮れには力尽きる人。太陽よりずっと遅れて起き、30分かコーヒー一杯でようやく動きだし、調子が出るのは日の後半で、日が沈んでも平気なまま明け方に寝る人。動画はこの二つの絵から入り、多くの人は自分をどちらかに重ねたがるけれど、実際にはあいだのどこかに散らばっていると述べ、朝型と夜型は生まれつきかと問いを立てます。

体内時計の指揮: この傾向を決めているのは概日システムで、視床下部の前のほうにある二つの神経細胞のかたまりが要になります。目から入る光を手がかりに昼と夜の周期を追い、ホルモンの流れを整えて、臓器の働きを互いの拍に合わせる指揮者のようにふるまうと動画は説明します。眠りと目覚めの切り替えも、その仕事の大きな部分です。

予測して備える: 概日システムは就寝を命令できるわけではありません。いつどれだけ光を浴びているかを追いながら、眠りが要る時刻を見越して体を用意します。たとえば夜10時ごろに寝る習慣があれば、その2時間ほど前から眠気を促すメラトニンを出しはじめる。だから習慣が変われば時計の側も動く、という筋道になります。

そろえると読める: では厳しく時間割を守れば変えられるのか。動画の答えは「ある程度は」。目覚め際にコルチゾールが上がる時刻ひとつ取っても、夜型では起きて30分後あたりにずれ、年齢で動くことはあっても好みの時間帯から抜け出すのは考えにくいとします。それでも寝起きの時刻をそろえると、体はホルモンを出す時機を読みやすくなると述べます。

光の落差と一貫性: 眠りの衛生と並ぶのが光の衛生で、昼の明るさと夜の暗さの落差をつけることが同期の鍵だと言います。曇りでも屋外は室内の照明よりずっと明るいので、朝の光を浴びるのを起きてすぐに。ただし体の好みに逆らう時間割は保ちにくく、一晩崩れれば元へ戻るとも。一貫していれば起きる時刻に正解はない、が結びです。