昼寝
睡眠
短く眠れば眠気に効く。長さで目的が変わる
どんな技?
昼過ぎに10分から20分だけ目を閉じます。横になれる場所があれば横になり、無ければ机に伏せる形でもかまいません。起きられない不安があるので先にタイマーをかけ、鳴ったら明るいところへ出て体を起こします。眠りに落ちない日もありますが、体を止めて休むだけでも枠としては成り立ちます。起きたら顔を洗ってから机に戻ると、切り替えが早くなります。
なぜ効くのか
眠気そのものが注意の抜けを増やすので、短く眠ると抜けの回数が戻る方向に働きます。長く眠ると深い段階まで入り、起きた直後にしばらく鈍い時間が残ります。これが寝起きの鈍さです。長さで別のことが起きるので、眠気を消したいのか覚えたことを寝かせたいのかで、時間の決め方が分かれます。深い段階に入る前に切り上げれば、鈍さを避けながら眠気だけ削れます。
やり方
正午から15時のあいだに、10分か20分で切り上げます。10分は起きてすぐ効きはじめ、20分は35分後あたりから効いてきます。すぐ頭を使いたいなら短い方を選びます。先にコーヒーを飲んでから寝るカフェインと昼寝を組む組み方もあり、目覚めの鈍さを薄める狙いで使われます。夜に響くので、夕方以降には置きません。
はまりどころ
30分まで伸ばすと、起き抜けに成績が落ちる時間が出ます。覚える方の効きは長さによる差が出ていないので、20分が記憶に向くとは決められません。夕方以降の長い仮眠は夜の寝つきを崩しますし、睡眠時間を削らないの代わりにもなりません。机では眠れない人もいて、効きには人による幅があります。昼の眠気が続くなら、まず夜の側を疑います。何週間も続くなら医療機関に相談する範囲です。
確かめられ方
Leong ら 2022 は54研究60標本のメタ分析で、昼寝が注意や覚えたことの保持を小から中くらい改善すると整理しています。効果量は注意でd=0.61、覚えた内容や手順では0.38から0.49でした。ただし仮眠の長さによる調整効果は出ていません。Brooks と Lack 2006 は5・10・20・30分を比べ、10分が最も効率的で効果はおよそ155分続き、30分では起床直後に成績が落ちる時間が出ました。
解説動画(海外・英語): Are naps actually good for us? | Sleeping with Science/TED
一続きで眠る形: 多くの人は勧められる7〜9時間の眠りを、夜にひとつづきで取ろうとします。動画はこれを単相性の眠りと呼び、専門の言い方では夜の一回きりの眠りだと説明したうえで、人はもともとこの形に組まれていたわけではないかもしれないと切り出します。日中に眠るようにできているのか、というのがこの回の問いです。
午後の落ち込み: 午後に注意が落ちて眠くなる感覚には誰しも覚えがあり、会議で頭が上下しはじめる人を見ても分かります。動画は、これを昼食のせい——つまり食後の眠気だと思いがちだが、頭に電極をつけて測るとあらかじめ組み込まれた落ち込みが確かに現れると述べます。それが来るのは、多くの人で13時から16時のあいだです。
二相性という形: ここから動画は、私たちは二相性——夜にひとつ長く眠り、日中に短い昼寝をはさむ形——に向けて作られていたのかもしれないと述べ、世界各地のシエスタの文化がそれに近いと添えます。ただし「昼寝はいつでも良いことなのか」という次の問いにはそうとは限らないと答え、良い面と裏側の両方へ話を進めます。
昼寝は諸刃の剣: 昼寝が脳にも体にも良い面をもたらすことは自分たちを含む研究者が見てきた、としたうえで、動画はそれが諸刃の剣でもあると言います。午後の遅い時間や夕方の長い昼寝は、夜に向けてたまった眠気の角を落としてしまう。これを、主菜の前のつまみ食いのようなものだとたとえます。
眠れない人は別: だから夜の寝つきに困っている人への助言は、日中は昼寝をしないこと。代わりに健やかな眠気をためて、すんなり寝入って朝まで眠り通せる見込みを上げます。困っていなくて日中に習慣として眠れる人なら、20分ほどの昼寝を一日の早いうちに取るぶんには差し支えない、というのが結びです。