カフェインの慣れ
カフェインと食べもの
毎日飲む人の「効いた」は、切れた状態の埋め戻しかもしれない
どんな技?
毎日の一杯が何をしているのかを、切り分けて見る技です。常用している人が朝に飲んで戻る感覚は、素の状態への上乗せではなく、前の晩から切れていたぶんの埋め戻しかもしれません。飲む前の午前の状態と飲んだ後の状態を同じ日のうちで並べ、どちらの側なのか見当をつけます。動かすのは記録の取り方だけで、量や断つ日数の指示はここでは出しません。
なぜ効くのか
常用すると、体はカフェインがある状態を基準に釣り合いを取り直します。そこから切れると眠気と反応の遅れが出て、飲むと元に戻るので、上乗せのように感じることになります。この見方だと、常用者に見える改善は落ちた分の回復で、素の力を超えたわけではありません。眠気そのものの借りは残るので、睡眠時間を削らないの側で見ます。
やり方
まず、いつ何杯飲んでいるかを数日ぶん書き出します。次に朝いちばんに飲まない日を作り、午前のつらさがどれくらい出るかを見ます。つらさが大きいほど、日ごろの効きは埋め戻しの側に寄っていると読めます。大事な日に効かせたいなら日ごろの量を減らす方向で試し、数日は様子を見ます。減らしている間の眠気は昼寝でしのぐ形になり、飲む時刻の線引きはカフェインを飲む時間の側の話です。
はまりどころ
埋め戻しだけで全部を説明できるとは言えません。同じ実験でも運動系の課題では常用していない人にも改善が出ており、決着していません。減らす向きに動かすと頭痛やだるさが出ることがありますが、その対処のしかたはここでは扱いません。つらさが長く続くなら医療機関に相談する範囲です。効き目を否定する項目ではなく、自分の効きを測り直す項目です。
確かめられ方
Rogers らが2013年に行った実験は、常用者212人と非常用または少量の人157人を、伏せた形で比べたものです(対照群とランダム化)。測られたのは眠気の自己申告と反応課題の成績です。一晩断つとどちらも落ち、常用者では飲むと戻りましたが、非常用の人では上がりませんでした。ただし運動系の課題は両群とも改善しており、埋め戻しだけでは説明しきれていません。
解説動画(海外・英語): Your Brain On Coffee/AsapSCIENCE
眠気は溜まっていく: 動画はコーヒーが石油に次いで多く取引されるものだと切り出し、まず眠気の側から話を始めます。起きているあいだ、脳にはアデノシンという物質が少しずつ溜まっていき、受容体につくと脳の働きが落ちます。起きている時間が長いほど疲れるのはそのためで、眠っているあいだは濃さが下がっていくと述べます。
席を先に取る: カフェインはアデノシンとよく似た形をしているので、血流に乗って脳へ入り、同じ受容体を奪い合うことができると続きます。ただし本人ではないため眠気の合図は出ず、アデノシンのほうは席が空くまで働けません。鎮める側の働きが弱まるので、疲れているときには助かると動画は述べます。
受け口が増える: ところが長く飲み続けると、脳は受容体の数を増やすほうへ応じると動画は述べます。受け口が増えたぶん同じ量では届かず、前より多くのカフェインが要ることになります。やめた日や一杯を抜いた日には離脱の症状が出て、そのときの眠気は飲む前の自分より重いとまで言います。飲み慣れた体で起きているのはこれだ、という順序で説明が進みます。
目覚まし以外の働き: 働きは眠気を止めるところで終わらないとも述べます。カフェインはアドレナリン、いわゆる闘うか逃げるかのホルモンの分泌も促し、心拍が上がり、血の巡りが強まり、気道まで広がると続きます。さらにドーパミンの再取り込みを妨げるので、気分が上向く感じも出ます。この気分の側がほどほどに癖になる理由だと述べます。
効きは半分に減る: 最後に半減期の話が来ます。体に入ったカフェインはおよそ6時間で半分になり、効きも半分ほどまで落ちます。さらに6時間たてば四分の一で、アデノシンが戻る余地が空きます。だから日中にもう一杯へ手が伸びるという締めで、飲む時刻の線引きはカフェインを飲む時間の側の話になります。