カフェインを飲む時間
カフェインと食べもの
半減期はおおよそ5時間。夕方の一杯が夜の眠りを削る
どんな技?
飲む時刻に締め切りを一本引きます。線を引く場所は、寝る時刻から数えて6時間以上前あたりを目安にして、それより後は湯やカフェインを含まない飲みものに替えます。眠くなってから足すのではなく、眠気が来る前の時間帯へ寄せる形です。量ではなく時刻の話なので、カフェインの慣れとは分けて扱います。夜の一杯を抜くのが最初の一手です。
なぜ効くのか
カフェインは、眠気の合図として溜まる物質の受け取り口をふさぎます。眠気の感じ方が薄れる一方で、溜まっているもの自体は減りません。体から抜けるまではおよそ5時間で半分という幅なので、夕方に飲んだ一杯は寝る時刻まで体に残ります。効くのは眠気と単純な作業の速さの範囲で、記憶や理解が良くなるという話ではありません。
やり方
起きてすぐ飲まない決まりより、まず飲むのをやめる時刻を決めます。夕方以降に飲んだ日は寝つきと夜中の目覚めを書き留め、数日ぶんを見比べます。眠気が強い日は量を足すよりカフェインと昼寝を組むほうへ寄せます。抜ける速さは人によって幅が大きいので、記録を見てやめる時刻を早める側へ線を引き直します。夜に飲む日が続いたときも、量を削るより時刻を前へ戻します。
はまりどころ
眠気の感じが薄れても、足りていない睡眠は戻りません。夕方に効かないと感じる日ほど、睡眠時間を削らない側が先です。抜ける速さの個人差は大きく、数時間から10時間以上の幅が知られているので、他人の目安をそのまま置き換えられません。頭の働きそのものが上がるという期待は、ブドウ糖やサプリで頭が良くなる説と地続きになります。
確かめられ方
Drake らが2013年に行った実験では、400mgを就寝の0・3・6時間前に与え、6時間前でも睡眠が乱れました。これはコーヒー数杯分に当たる多めの量です。Gardiner らが2023年にまとめたメタ分析では総睡眠時間がおよそ45分短くなり、入眠が9分ほど遅れると報告されています。コーヒー1杯で8.8時間前までという数字は、モデルからの推定値です。
解説動画(海外・英語): #126 - The Coffee Paradox/Sleep Diplomat (Matt Walker)
眠気の砂時計: 睡眠の研究者が、コーヒーとの折り合いのつけ方を一本かけて話す回です。まず脳の中では、起きているあいだじゅうアデノシンという物質が砂時計のように溜まっていくと説明されます。柱時計の重りが下がるのに似て、起きている時間が長いほど眠る圧が増し、ある高さまで来ると脳はそろそろ休めという合図として読み取ります。
席を先に埋める: カフェインはこの物質を片づけるわけではありません。受け取り口という同じ椅子に座り込み、合図が届くのを遮るだけだと述べられます。寝ろと叫ぶ観客で埋まった競技場が、満席のまま静まり返るような状態です。だから切れた瞬間に、その間もずっと溜まり続けていた重さが一度に降りてくる——これがいわゆる急降下だ、という説明になります。
夕方まで残る: 体から抜ける速さは、多くの人で半減期がおよそ5〜6時間。遺伝や肝臓の働き、飲んでいる薬、年齢によってもっと長い人もいます。動画は目安として、濃いコーヒー2杯ぶんを午後2時に飲めば夜8時にはまだ1杯ぶんが巡っており、寝床に入るころにも意味のある量が残っている、と数えてみせます。
6時間前でも乱れる: 紹介されるのは、400mg——コーヒー4杯ほど——を就寝の直前・3時間前・6時間前に飲んでもらい、自宅で一晩測った実験です。6時間前でも眠りは乱れ、総睡眠時間が1時間以上短くなった人もいました。参加者は日ごろ飲んでいる人たちで(カフェインの慣れ)、朝の申告では「よく眠れた」。乱れと、それに気づく力の両方が削られていました。
線は早めに引く: そこで動画は、量・時刻・飲み方・体質に分けて原則を並べます。就寝が夜10時なら最後の一杯は昼か午後1時、就寝の8〜10時間前を出発点の線に置く。分解の速さは遺伝でも分かれるので、2週間起床時刻を固定して寝つきと夜中の目覚めを見る。足りない眠りをカフェインで塗り固めるのは別問題だ、とも釘を刺します(睡眠時間を削らない)。