粘性

粘りと抵抗

隣り合う層がこすれ合う、流れの粘り

どんな現象?

はちみつは糸を引いて落ち、水はすぐ切れて飛び散ります。同じ量を同じ高さから垂らしても、平らに広がるまでの時間は何十倍も違います。液体でも気体でも、隣り合う層がずれるときにこすれ合ってすべりにくい性質が粘性です。空気にも粘りはあり、こすれ合う強さで比べると水の数十分の一ほどです。

なぜ起きるか

隣り合う層がずれると、遅い層が速い層を引き止め、速い層が遅い層を引きずって進めます。この受け渡しを、気体では分子の行き来が、液体では分子どうしの引き合いが担います。担い手が違うので、温めると気体は粘りが増え、液体は減ります。壁に触れた流体は壁と同じ速さまで落ちるので、壁から離れるほど速いという差ができ、差があるかぎり力は働き続け、運動は最後に熱へ変わって消えます。

どこで見られるか

冷蔵庫から出したはちみつが落ちてこないのは、冷えるほど液体の粘りが増すからです。機械の油に番号が振ってあるのも、使う温度での粘りをそろえるためです。コーヒーに落としたミルクが、かき混ぜないと筋のまま長く残るのは、粘りが小さな乱れを消してしまい、あとはゆっくりした混ざり方に頼るしかないからです。

勘違いしやすいところ

ねばねばして見えるものだけの性質ではありません。水にも空気にも粘りがあり、それがあるから壁ぎわに境界層ができます。粘りが小さければ抵抗も小さいとも限りません。速い流れで効くのは主に圧力抗力のほうで、粘りはきっかけを作る側に回ります。逆に、ゆっくりした流れでは粘りが抵抗のほとんどを占めます。

解説動画: 流体力学第22回「粘度・ニュートンの粘性法則とは??」※ コメント欄にて追加説明あり【機械工学】/単位が取れる機械工学【メカニカル大学】

粘性はネバネバの度合い: ここまで扱ってきたのは粘性のない流体で、今回から粘性のある流体に入る。粘性とは流体が持つネバネバさのことで、蜂蜜と水を比べれば蜂蜜のほうが強いと分かる。その度合いを表す値が粘度で、別の言い方をすれば変形に対する抵抗の度合い。

壁に近いほど遅い: 粘性流体が流れているとき、速度は壁に近づくほど小さくなるように分布する。だからある瞬間に縦一列に並んでいた粒子は、わずかな時間のあとには上ほど先へ進み、列が斜めに倒れる。この傾きがせん断ひずみにあたる。

速度勾配は変形の速さ: 上下2つの粒子の速度の差を、その間の距離で割ったものを速度勾配という。角度の変化が小さければ、これはせん断ひずみを時間で微分したものと等しくなる。つまり速度勾配は、せん断変形の速さそのものを表している。

ニュートンの粘性法則: このとき生じるせん断応力は、せん断ひずみ速度に比例することが分かっている。速く変形させるほど内部に出る抵抗が大きいのは感覚とも合う。比例定数を置いて書いたこの関係がニュートンの粘性法則で、成り立つのは層流と乱流のうち層流のとき。従う流体をニュートン流体と呼ぶ。

グラフの傾きが粘度: 縦軸にせん断応力、横軸に速度勾配を取ると直線になり、その傾きが粘度にあたる。水の直線に対し、水より粘度の小さい空気は寝た直線になる。同じ変形の速さなら粘度が大きいほどせん断応力も大きいと読み取れる。単位はパスカル秒。