よどみ点
圧力と速さ
流れが物にぶつかって止まる一点
どんな現象?
向かってきた流れが物体の正面で行き場を失い、速さがゼロになる一点です。そこを境に、流れは上下左右へ分かれていきます。雨の日に車の正面へ水滴が集まってくる位置や、虫がぶつかって残る位置が、だいたいこの点のあたりだと思ってかまいませんが、目印があるわけではありません。
なぜ起きるか
止まるためには減速しなければならず、減速するには進む先の圧力が高い必要があります。ですから正面には周りより高い圧力ができ、その高い圧力が、あとから来る流れを左右へ押し分けます。持っていた勢いが、そこで丸ごと押す力に化けた格好です。押す力が最大なのは動きが止まった点という、直感とは逆の並びになります。
どこで見られるか
電車の先頭、船の舳先、飛行機の機首。速度計のピトー管の原理は、正面の穴をこの点に合わせて置くことで成り立っています。物体の向きが変われば点の位置も表面をずるずる移動するので、機体がどちらを向いているかを知る姿勢の手がかりにも使われています。橋脚の川上側に流木が溜まりやすいのも、同じ場所の話です。
勘違いしやすいところ
「止まっている=何も起きていない」ではなく、押す力はそこが最大です。点と呼びますが、細長い前縁では線のように伸びることもあります。速さゼロは地面から見た話ではなく物体から見て動いていないという意味で、走る車の正面では空気ごと一緒に運ばれている状態です。
解説動画(海外・英語): 6.1 Static pressure, stagnation pressure, and total pressure/learnfluidmechanics
静圧は速さを変えずに測る: 管の中を一定の速さで流れている流体に、何か所かマノメーターを差して圧力を測る。マノメーターの両側の圧力差は、流体の密度と重力加速度と液面の高さの差を掛けた値になる。ここで流れの速さを変えないままある点で測った圧力が静圧。管路の流れを扱う章の、定義からの出発点になっている。
よどみ点は止めて測る点: もう一つの測り方が、力学的エネルギーを失わせずに流れを止めてから測るやり方。この止まった点がよどみ点で、そこで測った圧力がよどみ圧。流れの速さがゼロでない限り、よどみ圧は静圧より必ず高いと動画は言い切る。
差が動圧、割ると速度水頭: よどみ圧と静圧の差が動圧で、密度と速さの2乗を掛けた値の半分にあたる。これを密度と重力加速度で割ったものが速度水頭。動画はここで、静圧はただの圧力、よどみ圧はよどみ点で測った圧力という区別がいちばん大事だと念を押す。
全圧はよどみ圧とは別: 三つめの定義が全圧で、よどみ圧に基準面から重力と逆向きに測った高さのぶんの圧力を足したもの。全圧はよどみ点で測った圧力ではないと動画はわざわざ念を押す。全圧の中身は、体積あたりの位置エネルギーと運動エネルギーと圧力の三つ。
配管では全圧を追う: 管路網では全圧がその点の力学的エネルギーそのものなので、全圧を追いかける。図では例として1.5メートルの水頭から始め、入口損失、管壁との摩擦による管路損失、ポンプでの上昇、弁での損失、流れの速さを測るオリフィスでの低下、出口損失と足し引きし、必要なポンプ動力を出す。