動圧と静圧

圧力と速さ

流れの勢いと押す力を分けて数える

どんな現象?

静圧は、流れの中にもともとある押す力で、流れと平行な横向きの穴で拾えます。動圧は勢いを圧力に直した量で、速さが二倍になれば四倍に増えます。この二つを足したものが全圧で、流れを正面で止めた場所に現れるのは静圧ではなく全圧のほうです。三つは別々のものなので、まず言葉を分けて覚えます。

なぜ起きるか

動圧は「もしこの流れを丸ごと止めたら、勢いがどれだけの押す力に化けるか」を先に数えておいた量です。だから止めた点の全圧から静圧を引けば残るのは動圧だけになり、そこから速さが逆算できます。速さを測らずに速さを知る道具は、ほとんどがこの引き算で動いています。

どこで見られるか

速度計、風洞、換気ダクトの点検、車や建物の風の設計。同じ速さでも水の動圧は空気の八百倍ほどで、水の中の物が受ける力が桁違いに大きいのはこれが理由です。使い方はピトー管の原理に、成り立つ前提はベルヌーイの式にまとめてあります。遅い流れでは差が出ませんから、そよ風のような場面には別の測り方を使います。

勘違いしやすいところ

静圧が低いことは真空を意味しません。動圧は壁を押している力ではなく、止めたときにはじめて現れる分です。静圧を測る穴は流れと平行に、面をなめらかに開けないと勢いが混ざり込み、値が高めに出ます。測り方の粗さがそのまま速さの誤差になって返ってくる、見た目より繊細な測り物です。

解説動画: 【ポンプ】静圧と動圧の違いって何?/エネ管.com

うちわの風は動圧: うちわであおいだときに顔に来る風を、動圧の例として持ち出す。空気に流速が与えられたぶん圧力が上がったと捉えられる、という説明。動圧は流速や運動エネルギーに関係した圧力で、流れているものが何かにぶつかって流れを阻害されたときに初めて出てくる圧力だ、としている。

2つの圧力計の差で測る: 配管なら、水の流れに対して垂直に立てた圧力計と、流れに正面から向き合うよう逆向きに付けた圧力計を並べて比べる。正面を向いたほうが高い値を示し、その差が動圧にあたる。条件が決まっていれば動圧から流速を逆算でき、飛行機の速度計として使われているピトー管の原理が代表例。

測れるのは静圧だけ: 流れがないときの圧力が静圧で、動圧と区別して分かりやすく説明するための言葉、というイメージでよいとしている。実務で効くのはここから先で、圧力計が原理的に測れるのは静圧のみ。動圧は測る値ではなく、計算して求める値になる。

全圧は流路が変わっても一定: 全揚程を圧力に換算したものが全圧で、静圧と動圧を足したもの。これは流路や流速が変わっても一定で、よく見るとベルヌーイの式から位置エネルギーの項を消した形になっている。合計が決まっているので、流速が大きく動圧が大きい場所では、見かけの圧力である静圧はその分だけ小さい。

ポンプのカタログの読み方: 実際に測れる静圧は配管系の組み方で変わってしまい、機器そのものの能力にならない。そこで試験装置で測った静圧と動圧を足した全圧を使い、設備環境に左右されない数字として能力を書く。選定では全圧だけ検討すればよく、ポンプのH-Q曲線が全揚程で書かれているのはこのため。換気扇など空調機器では静圧と風量のP-Q曲線を使う。