コアンダ効果

圧力と速さ

噴き出した流れがそばの面に沿って曲がる

どんな現象?

水道から細く落ちている水にスプーンの背をそっと近づけると、水がその丸みに貼りついたまま向きを変え、スプーンごと水の方へ引かれます。噴き出した流れがまっすぐ進まず、すぐ隣の面に沿って曲がる。空気でも同じことが起き、実用ではむしろそちらが主役です。

なぜ起きるか

噴き出した流れは、周りの空気を巻き込みながら連れていきます。片側に面があると、そこは巻き込まれた分を補いにくく、面と流れのあいだの圧力が下がる。反対側は元のままなので、差の分だけ流れは面へ押しつけられ、面なりに曲がります。曲げられた流れは向きを変えた反動を面に返すので、スプーンが流れの側へ動くのはその反作用です。

どこで見られるか

手をかざすと風が回り込むハンドドライヤー、羽根の見えない送風機、天井に沿って遠くまで届く冷房の吹き出し、急須の注ぎ口を伝う液だれ。ゆっくり注ぐほど伝ってしまうのは、曲がりについていける速さに限りがあるからで、離れる側の話は剥離がくわしいです。

勘違いしやすいところ

面が流れを吸っているのではなく、反対側の空気に押しつけられています。離れるかどうかは曲がりの急さと勢いの兼ね合いで決まり、急な曲がりや速すぎる流れでは途中で離れます。水がスプーンを伝う場面や急須の液だれにはぬれやすさや表面張力も効いていて、この効果だけでは説明しきれない、というのが今のところの見方です。

解説動画(海外・英語): Coanda Effect/Harvard Natural Sciences Lecture Demonstrations

シュリーレンで空気を見る: ハーバードの実験室から。シュリーレン光学の装置を使って、物体のそばを通る空気の流れそのものを画面に映し出す。風を出すのはドライヤーだけ。段ボールの円筒に向けて少しずつ近づけていくと、離れているうちはまっすぐ進む流れが、円筒のすぐそばでは下向きにそれて、輪郭をなぞりはじめる。

球でも同じことが起きる: バスケットボールでも同じだと見せる。風を遠ざけておけば直進するのに、球へ寄せると流れが下へそれ、丸みに沿って巻きつくように回り込む。ドライヤーの風で浮かせたピンポン球も、ドライヤーを傾けて風の向きを変えたまま浮き続ける。球の下側が風を曲げ、風が球の形をなぞっているからだと説明する。

粘りが低圧の場をつくる: ではなぜ曲がるのか。動画は空気の分子どうしに摩擦がある、つまり粘性があると考えろと言う。仮に流れがまっすぐ進んだとすると、流れの下側にいた分子は摩擦で引きずられてその場を離れ、そこが上側より圧力の低い場所になる。差し引きで流れを下へ押す力が残り、球を回り込み続ける。

わざと切ると垂れない: 締めは台所の話。ワインを注ぐと瓶の側面を伝って垂れるのも同じ効果で、動画はこれをわざと壊してみせる。必要なのは瓶の口を鋭くすることだけ。丸めたアルミホイルを注ぎ口に差し込むと、流れが縁の輪郭をたどれなくなり、一滴も垂れない。